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ゆるキャラやB級グルメは地域活性化にならない理由

ゆるキャラやB級グルメは地域活性化にならない理由

地域再生の失敗学/光文社新書』のなかで「ゆるキャラやB級グルメは地域活性化にならない」と主張を見かけました。

僕はゆるキャラやB級グルメが好きで、これらを目的として旅することもあるので地域活性化に資するものだと思っています。ゆるキャラやB級グルメについては過去の記事で何回も取り上げています。

そんな僕にとって本主張は中々刺激的なものでした。ただこういった意見は大切で、もし本当に地域活性化にならないのであれば、その原因を特定し改善するヒントを貰えるチャンスになります。

ですので、なぜ地域活性化にならないと結論付けたのか、その主張を詳しく見ていきたいと思います。

ゆるキャラやB級グルメが地域活性化・まちおこしにならない理由

税金を投入して、一時的にお客さんを集めてはいるけれど、かけたお金以上に地元にお金が戻ってこないということに尽きると主張されています。多くの場合「まちおこし」はまちを全然興しておらず、むしろ投資ではなく消費になってしまっているというのです。

たとえばB級グルメの巨大イベントを開くと、何十万と来場者がありますが設営や管理などの運営費用に見合う売上が出ているのか、イベントの後も消費者は地域にお金を落としてくれるのか。こういった視点がないと税金を投入するだけ投入して、投入資金に見合った回収が出来ずに企業でいえば赤字運営になってしまいます。

ゆるキャラにおけるブランディングにおいても、地域を知って貰ったところで実際にそれ目的でどれだけの人が地域に来てお金を落としてくれるのか。かけた費用に対してどれだけ効果があったかの観測もあいまいになりがちです。

結局のところ地域外から地域内にお金が入ってこないと施策として成功と言えないのに、費用対効果があまりにも議論されずに「とりあえずやる」ことに意義が出てしまっている。

費用対効果を図る際に経済効果が良く使われますが、これも非常にあいまいなものです。経済効果は既にあった売上を食って、その施策の効果として計上するので過大推計になりがちで、見かけ上は巨大な金額が出て何か凄そうな感じがしますが、実態としてどれほどまでに地域に貢献しているのか、経済効果という指標だけでは分かりかねないのに、経済効果という指標でとりあえず満足してしまう。

こんな現状を見て筆者は表題のように考えたわけです。

つまり、公的な施策であっても稼ぐべきところは稼ぐ試算をしなければならないということですね。行政も民間のようにビジネスの考え方を取り入れていかなければならないということでしょう。ただし、そうならないのは地方交付税という甘い蜜があり何もしなくても行政にお金が入ってくるので頑張る必要があまりないという裏側の事情もあります。

こういったお金まわりの在り方は今後の地域活性化を考えるうえでとても重要なものだと再認識しました。

その他、心に残った語録

限界集落の住民を近くの都市に移転させる話があります。実際は移転の話をすると、極端に反発してくるのはおおむね都市の人なんです。現実の厳しさを知らずに「地方の切り捨てだ!」と怒り出す。でも過疎の現場で移転の話をしてもそうはなりません。とりあえずかもしれませんが、ちゃんと聞いてくれる人がほとんどです。都市の人ほど「理想の農村」観があったりしますね。理想を守ってくれる人がいて欲しいけど、それは自分ではないという。

参考文献引用

これは日本に限らず、地域の話に限らず世界中で起きている話だと思います。他人事だからこそ好き放題に理想論を言える。僕も地域活性化などを考えてはいますが実際に過疎地域などに住んでいるわけではありません。そんな僕が過疎地域を救うんだと言っても結局のところ絵に描いたモチになってしまったり、現場軽視の押し付け施策になってしまう危険性が高くあります。

どんなことでもそうですが、現場を知ってこそ本当に活きた施策や提案が出来るものだと思います。

僕のなかで心に残ったフレーズだったのでご紹介させて頂きました。

良書だと思いますので皆さんも興味があれば手にとってみてはいかがでしょうか。