こんにちは!グシオです。
中小企業診断士オススメの良書を紹介するコーナーです。今回のキーワードは「経営戦略」「事業再生」で僕が中小企業診断士の勉強を始めるまえから愛読している「V字回復の経営」を取り上げたいと思います。もう10回以上は繰り返し読んだと思います。これだけ繰り返し読んでいるのは漫画を除けば司馬遼太郎さんの「新史・太閤記」くらいしかありません。
読書感想文はどこまでネタバレして書いて良いのかイマイチ感覚がつかめていない部分もあるので、あまり中身の具体的な話はせずに読んで得られた学びや感想を中心に記載します。
「2年で黒字化できなければ、退任します」―。戦略的なアプローチと覚悟(高い志)を武器に不振事業再建に取り組む黒岩莞太は、社内の甘えを断ち切り、業績を回復させることができるか。実際に行われた組織変革を題材に、迫真のストーリーで企業再生のカギを説いたベストセラー。
著者である三枝匡さんがコマツの不採算事業再生をしたときのことをモデルにした小説で主人公の黒岩が赤字事業をどのように立て直したかが鮮明に描かれています。
三枝さんは、ボストン・コンサルティング・グループに国内で初めて採用された方です。コンサルティングをしたあと、スタンフォード大で経営学修士(MBA)を取得し、ベンチャーキャピタル会社社長などを経て、不振企業の再建支援を行う「事業再生専門家」として名声を集めました。
今回紹介する「V字回復の経営」もそのときに携わった仕事をモデルにしています。その後、ミスミのCEOになり従業員340人の商社からグローバル1万人規模の企業へと育てあげました。ミスミをどのように発展させたかは「ザ・会社改造」という本に詳しく記載されています。こちらの本も面白かったのでよろしければ一読ください。
小説形式ですので赤字企業をV字回復させたサクセスストーリーとして純粋に楽しめますが、要所要所に三枝さんがよく使うとされるフレームワークも掲載されており、どういうシチュエーションでどのようにして考え方を整理し、周りの人たちに情報を共有するかも書かれれているのでビジネス書としても参考になります。
改革はトップ(親会社社長)が意思を固め、かつ一定期間は何が起きても我慢をすると覚悟を決め、3人のリーダーが必要不可欠だと筆者は述べています。3人は「知のリーダー」「力のリーダー」「動のリーダー」です。これは1人で2役をしても良いし複数人が複数の役割を補い合って良いともされています。これが必要だと言われる理由も小説を読み進めていくなかでよく理解できます。
また、低迷している企業の傾向についても情報がまとめてあります。印象に残った一文としては以下があります。
・ミドルが問題を他人のせいにばかりしている
・会議の出席者がやたら多い
・社内では顧客の視点や競合の話がなく、内向きの話ばかり
・狭い社内で同じ考え方が伝搬し、皆が似たようなことしか言わない。社外のことに鈍感
・変化を好まないので、10年前の話をつい最近起きたかのように語られる場合もある
自分の会社に当てはまる項目があるなと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。僕の前職の会社も似たような所がありました。部署間同士でお互いにいがみ合うことばかりにチカラが使われていて、顧客視点や競合の話など一切出ないというのは日常茶飯事でした。もっと外向きなところでチカラを使いたい人は心身ともに疲弊して退職していく悪循環であり、頑張ろうという活力も会社としてあまりなかったように思います。
前向きに進もうとしている人々を守るのは改革リーダーの最大の責務であるというお話しや一緒に頑張ろうと話をしたのにいざ自分が前線に立つと後ろから梯子を外されて裏切られる話なども印象的でした。保身に走る人がトップやリーダーだと改革はうまくいかないわけです。
またプロジェクトチームの運営の仕方や野党となっている社員たちの扱い方など社内の人事やマネジメントの部分でも参考になる描写が多くありました。自分が一生懸命やっているのに他人事のようにしている人やお手並み拝見というテイでいる人を相手にして苛々したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。本書では、そういう社員に対して一喝するシーンもあり読んでいてちょっとスッキリしました(笑)
残業・休日出勤あたりまえのモーレツ社員な働き方を肯定する描写も多く、少し価値観が古い感じもしてイマドキの若い子たちには受け付けないかなと思うところもありますが、それを差し引いても会社を変えるための覚悟を持った行動的かつ情熱的な描写は読んでいて心が熱くなるものもあり自分も頑張ろうと思えます。
戦略の組み立て方や周りの人たちをその気にさせるための戦略ストーリーづくりの大切さ、そして改革を推し進める覚悟と情熱がいかに大事であるか、困難を乗り越えた先にあるV字回復のカタルシスなど色々なことを学べます。中堅~大企業にお勤めのミドル世代、中小企業診断士、経営戦略に興味のある方にはぜひオススメしたい一冊です。
三枝さんの他の本も良書ばかりなので他の本も合わせて読んでみてはいかがでしょうか!
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