中小企業が銀行などの金融機関からお金を借りる時には一般的に事業性評価を受けます。事業性評価という言葉を聞いて何となくどういうものかイメージが沸くかもしれませんが具体的にはどういったことを評価されるのかまで答えられる方は案外少ないものです。この記事では事業性評価とは何か、事業性評価はどうやるのかについて解説します。
目次
事業性評価とは
事業性評価とは、金融機関や経営支援者が、顧客企業の事業を「知り」「整理し」「評価」することにより、従来の財務分析/担保評価では難しかった可能性を見いだし、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行い顧客の企業価値向上を実現することです。
事業性評価をする理由をサイモン・シネックのゴールデンサークルを使って説明すると以下のように考えられます。
WHY
企業価値向上の実現
HOW
ローカルベンチマーク、経営デザインシートなどのフレームワーク活用
(現状把握・課題設定、将来の事業構想)
WHAT
中小企業診断士や金融機関による経営診断
企業にとって事業性評価をするメリット
・自社の経営資産を再認識して今後の経営戦略に活かせる
・融資や経営支援の相談がしやすくなる
事業性評価の分析項目
一例として、事業性評価では以下のような分析を行います。
非財務情報の分析
外部環境分析
・PEST分析
・5Forces分析
内部環境分析
・バリューチェーン分析
・商流分析
3C分析
SWOT分析
財務情報の分析
収益性
生産性
安全性
経営理念
経営資源
ビジネスモデル
提供価値
こうして見ると事業性評価をするのはとても大変な感じがしますね。でも安心してください。事業性評価を効率的に実施するのに役立つ分析ツールがあります。
事業性評価に役立つ分析ツール
事業性評価では「ローカルベンチマーク」通称「ロカベン」や「経営デザインシート」という分析ツールを使用することもあります。
ローカルベンチマーク(略称:ロカベン)は、企業の経営状態の把握、いわゆる「企業の健康診断」を行うツールです。企業の経営者と金融機関・支援機関等がコミュニケーション(対話)を行いながら、ローカルベンチマーク・シートなどを使用し、企業経営の現状や課題を相互に理解することで、個別企業の経営改善や地域活性化を目指すことを目的に開発されました。「6つの指標」(財務面)、「商流・業務フロー」、「4つの視点」(非財務面)の3枚組のシートで構成されています。
参考:『経済産業省「ローカルベンチマーク」』
「経営デザインシート」とは、企業等が、将来に向けて持続的に成長するために、将来の経営の基幹となる価値創造メカニズム(資源を組み合わせて企業理念に適合する価値を創造する一連の仕組み)をデザインして在りたい姿に移行するためのシートです。
経営デザインシートを使うことで、経営者の頭の中にある将来のビジネスの構想を整理し、見える化することができます。また、シートを従業員や支援者との対話ツールとして活用して、目指す方向性を共有することもできます。
経営デザインシートには、三種類のひな型が用意されています。(1)企業全体(複数事業等)の将来構想を描く「全社シート」、(2)特定の事業の将来構想を描く「事業シート」、(3)事業が一つだけの企業が使いやすい「事業が一つの企業用シート」です。 どのシートも基本的な考え方・フレームは同じです。
参考:『首相官邸「経営デザインシート」』
まとめ
事業性評価をすることで経営者の頭の中にある将来のビジネスの構想を整理し、見える化することができます。また、シートを従業員や支援者との対話ツールとして活用して、目指す方向性を共有することもできます。また、金融機関などから融資を受けたいときや補助金申請をするときにも自社について説明しやすくなるという利点もあります。
ローカルベンチマークや経営デザインシートなど様々なお役立ちツールもありますが、実際にやってみると中々難しいこともあります。こんなときには中小企業診断士に相談することも選択肢の1つです。名前の通り経営診断(事業性評価)をする専門家であり、第三者から見ると思わぬ強みが発見されることも多々あります。
お困りの際には近くの中小企業診断士または中小企業診断協会へご相談されてみてはいかがでしょうか。