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「SDG Compass」にみる企業のSDGs取り組み方法

SDG Compassにみる企業のSDGs取り組み方法

こんにちは!グシオです。

突然ですが皆さまに質問です。

SDGsって何ですか」と聞かれたらどう答えますか?

一例としては、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない」ことを目指します。という感じでしょうか。

SDGs17のゴール
引用:『国際連合広報センター

でも、この説明だけだと「ふぅん。そうなんだ」で終わってしまいますよね。お恥ずかしながら僕も最近までそんな感じでSDGsを深く理解しようとはしていませんでした。最近色々とあり、SDGsについてもっと学ぶ必要が出たので今回記事のテーマにしています。

SDGsには「SDG Compass」というガイドラインがあります。GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)の3団体が共同で作成したもので、企業がSDGsにどのように取り組むべきかが示されています。この記事ではSDG Compassを読み解き、皆さんと一緒に「結局SDGsってどうやるのさ?」という所をイチから学んでいきたいと思います

参考:『SDG Compass

ぐしお
ぐしお

SDGsについてあまり詳しくない方を対象とする記事のため、SDGsをよくご存じの方はこの記事の情報では物足りないと思いますので他の記事を読んでいただけたら嬉しいです!

他の記事:『浜松vs宇都宮餃子戦争にみる地方創生/地域活性化のヒント

SDGsはなぜ企業にとって必要なのか

僕は旅行が好きなので日本全国あっちこっちにいきますが、そこで見た美しい景色はこれから生まれて来る子供たちにも見せてあげたいとよく感じています。しかし、綺麗な景色や豊かな生活がある一方でプラゴミを食べて苦しむウミガメや先進国のゴミ捨て場と化している地域が存在することも実情です。このような社会問題や環境問題を解決するための企業および事業に対して民間の投資が集まるような流れを作ることがSDGsのねらいです。

SDG Compassでは、企業がSDGsに取り組むメリットは以下があると述べています。

  • 将来のビジネスチャンスの見極め
    SDGsは、地球規模の公的ないしは民間の投資の流れをSDGs が代表する課題の方向に転換することを狙いと
    している。そうすることにより、革新的なソリューションや抜本的な変革を進めていくことのできる企業のために、成長する市場を明確にしている。
  • 企業の持続可能性に関わる価値の向上
    企業の持続可能性のための理論的根拠はすでに十分に確立されているが、( 環境コストなどの ) 外部性が益々内部化されるに伴い、SDGs は、たとえば、企業が資源をさらに効率的に利用し、あるいは、より持続可能な代替策に転換するような、経済的なインセンティブを強化する。
  • ステークホルダーとの関係強化、新たな政策展開との同調
    SDGs は、国際、国家、地域レベルで、ステークホルダーの期待と将来の政策の方向性を反映している。SDGsと経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客、従業員その他のステークホルダーとの協働を強化できる一方、統合させない企業は、法的あるいはレピュテーションに関するリスクに益々さらされるようになる。
  • 社会と市場の安定化
    社会が機能しなければ、企業は成功できない。SDGsの達成に投資することは、ルールに基づく市場、透明な
    金融システム、腐敗がなく、良くガバナンスされた組織など、ビジネスの成功に必要な柱を支援することになる。
  • 共通言語の使用と目的の共有
    SDGs は、共通の行動や言語の枠組みを提供することにより、企業が、その影響やパフォーマンスについて、
    より一貫して、そして、より効果的に、ステークホルダーと意見交換を行うことを支援する。SDGs は、世界の最も緊急な社会的課題に取り組むために相互に協力できるパートナーを結びつける。

たまにSDGsはカネの匂いがするとか偽善っぽいなどと仰る方も居ますが、社会問題・環境問題を事業で解決する流れを作ることを狙っているのですからカネの匂いがしても何らおかしい話ではないのです。社会問題や環境問題の取り組みはボランティアでするもの、というイメージがあるから偽善っぽいと感じる方もいるのかもしれません。実際にボランティアをされている方はとても素晴らしいと思いますが、やはり高い志があり時間や経済的に余裕がある方でなければできないという制約があります。一方、事業そのもので社会問題や環境問題に取り組み、問題を解決することで収益化も出来るのであれば、それは持続可能な解決策となりえるでしょう。

ここから先は企業が実際にSDGsに取り組むときの手順を解説します。

SDG Compassでは5つのステップで取り組むことを推奨しています。SDGsを理解するという項目に関しては、これまで述べた内容と重複する部分も多くあるためここでは省略します。

  1. SDGsを理解する
  2. 優先課題を決定する
  3. 目標を設定する
  4. 経営へ統合する
  5. 報告とコミュニケーションを行う

優先課題を決定する

各企業が SDGs に対して及ぼす最大の社会的・環境的な影響は、企業が所有する資産の範囲を超える可能性があります。最大の事業機会は、バリューチェーンにおいて、その企業の活動範囲よりも上流もしくは下流に存在しているかもしれないからです。

したがって、各企業には、影響の評価と優先課題を決定するための出発点として、供給拠点・調達物流から生産・事
業を経て製品の販売・使用・廃棄に至るバリューチェーン全体を考慮することをSDG Compassでは推奨しています。これによって、以下の参考図のような形でまずはバリューチェーンを書き出して、それぞれの活動ごとにSDGsと関連づく項目がないかという視点で見ていくことで自社のSDGs活動方針を検討します。

引用:『SDG Compass

目標を設定する

優先課題を決定したら次に目標を設定します。

目標を立てるうえで大事なことは以下を明確にすることです

  • 具体的であること
  • 計測可能であること
  • 期限つきであること
  • 持続可能であること

また控えめな目標より意欲的な目標の方が大きな影響や達成度が期待できます。意欲的な目標を設定するにあたり、現在および過去の業績を分析し、今後の動向と道筋を予測し、同業他社を基準に評価するのが、これまでの企業のやり方でしたが、そのような目標の一体的な影響では、グローバルな社会的、環境的な課題に十分対処することはできません。リーディング企業はこのことを踏まえ、目標設定において「アウトサイド・イン」のアプローチを取り始めています

アウトサイド・イン・アプローチとは

世界的・社会的という「外部」の視点から、将来のありたい姿や何が必要かについて検討し、それに基づいて目標を設定していく方法(アプローチ)を指します。つまり、企業が単に製品や売上にこだわるのではなく、顧客が求める価値の提供や社会的課題の解決を目指すことです。

経営へ統合する

具体的な数値目標の設定を終えたら次にするべきことは、設定した目標への取組みに向けて、持続可能性を事業に統合し、ターゲットをあらゆる部門に組み込むことが重要です。これを実施するにはCEOや経営幹部の積極的なリーダーシップが鍵になります。また、自社単独では達成できないことは共通の目標・目的を持つ企業とパートナーシップを組むことも検討したいです。それぞれのコアコンピタンスの活用やプロジェクトにおける多様な文化からの発想などでイノベーションも期待できます。

報告とコミュニケーションを行う

企業の持続可能性に関する情報開示はここ 10 年の間、ステークホルダーによる情報要求とともに劇的に増加しました。各企業が企業のステークホルダーのニーズを把握してこれに応えるために、SDGs に関する進捗状況を定期的に報告しコミュニケーションを行うことが重要です。

特に、以下の情報を報告すると良いでしょう

  • 優先課題が設定された理由と経緯
  • 優先されたSDGsの課題に対する目標と進捗
  • 目標達成のための戦略と実践状況

報告の参考事例

味の素株式会社『サステナビリティデータブック2021

まとめ

以上、駆け足でしたがSDG Compassを読み進めながら企業がSDGsに取り組む方法を解説しました。

僕としてはむこう1年以内に中小企業診断士としてSDGsの基本思想を広く伝え、企業さまのSDGsの取り組み支援やSDGsを絡めた地方創生・地域活性化支援ができるようになるべく四苦八苦しながら精進しております。またSDGsについて紹介する記事を書ければと思います!

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