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SDGsウォッシュを見抜くために知っておきたいポイント

SDGsウォッシュを見抜くために知っておきたいポイント

SDGsウォッシュとは、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)を名ばかり利用し、その実体が伴っていない行為を指します。たとえば企業が自社の製品やサービス、政策等をSDGsに寄与していると装い宣伝する一方で、その実態が伴っていない場合などを「SDGsウォッシュ」と呼びます。持続可能な開発に向けた取り組みがなされているように見せかけるだけで、実質的な貢献がない場合も同様です。こういった行為は、消費者の信頼を失い、最終的には企業自身のブランドイメージを下げることとなります。

近年の学校教育により若い世代のSDGsへの関心が高まっています。私たちよりも若い世代の方が真に持続可能な商品やサービスを選ぶため、企業が本当にSDGsへ寄与しているかどうかを見極める目が養われていると考えられます。そのため、売上向上のためにも、採用のためにも、SDGsウォッシュにならないよう心掛けることが企業にとっても求められているわけです。

しかし灯台下暗しという言葉があるように自分の企業のことを客観的に見ることが意外と難しいもので、自分ではそう思っていなくても実はSDGsウォッシュになっていたというパターンもありえます。この記事では消費者目線でSDGsウォッシュを見抜くポイントを紹介します。自社のサービスもこの視点で見たときに問題がないか確認して頂く事をオススメします。

SDGsウォッシュを見抜くための3つのポイント

SDGsウォッシュを見抜くための3つのポイントを紹介します。

持続可能性への具体的な取り組みがあるか

SDGsウォッシュを見抜くためには、企業の持続可能性への具体的な取り組みが重要なポイントとなります。企業の公式ウェブサイトや報告書をチェックし、具体的なアクションが記載されているか確認しましょう。

具体的なアクションとは、「商品のパッケージをリサイクル可能な素材に変更した」「CO2排出量を〇〇%削減するための施策を計画した」など、数値目標や実施内容が具体的に表記されていることを指します。

一方で、抽象的な表現や形式的な取り組み(例:「環境に配慮しています」)だけでは、その企業のSDGsへの取り組みが真剣であるとは断定できません。SDGsウォッシュを見抜くためには、具体的な行動が明示されているかどうかがポイントとなります。

社会貢献活動が本質的なビジネスモデルに組み込まれているか

SDGsウォッシュを見抜くポイントの一つ目として、企業のビジネスモデルに社会貢献活動が本質的に組み込まれているかを見ることが重要です。企業が一見、SDGsに取り組んでいるように見えても、それが単なる一時的なキャンペーンや宣伝なら、それはSDGsウォッシュの可能性が高いです。

具体的には、企業の製品開発やサービス提供、経営方針などの根幹部分に、SDGsの目標がしっかりと組み込まれているかを確認しましょう。例えば、以下のような表で確認すると良いでしょう。

企業の取り組みSDGsの目標
製品開発SDGs目標達成に寄与
サービス提供社会問題解決に直結
経営方針持続可能性への配慮

これらの観点から、本当に企業が社会貢献のために努力し、SDGsの達成に向けた取り組みを行っているかを評価することが不可欠です。

長期的な視点での評価と改善の取り組みがあるか

持続可能な社会を創造するためには、一時的な取り組みではなく、長期的な視点での評価と改善が必要です。そのため、企業がSDGsの目標達成に真剣に取り組んでいるかを見抜くためには、その企業が継続的な評価と改善の体制を整えているかをチェックすべきです。

具体的には、以下のような点を確認します。

  1. 定量的な目標設定:企業がSDGsの目標に対して具体的な数値目標を設定しているか。
  2. 定期的な評価:設定した目標に対する進捗状況を定期的に公開しているか。
  3. 改善策の導入:評価結果から改善策を導入し、その効果を再評価しているか。

これらのポイントを確認することで、企業がSDGsの実現に向けて真剣に取り組んでいるかを判断できます。

参考までに、これらのプロセスを実施するために『SDGsコンパス』と呼ばれるマニュアルがあります。ただ、このマニュアルは中堅~大企業向けな印象を僕は受けたので、中小企業の方は参考にしつつもムリのない形で自分たちの事業に落とし込む必要があると考えています。そういったことに興味があるけれどもノウハウがなくて困っている方は中小企業診断士に相談するのも手です。

具体事例を通じたSDGsウォッシュの見抜き方

事例1:一見SDGsに寄与しているように見える企業の裏側

一例として、某飲料メーカーを取り上げます。この企業は、プラスチック製ボトルにリサイクル可能マークを付け、SDGs目標の「持続可能な消費と生産活動」に貢献しているとアピールしています。表面的にはエコ志向のように見えますが、掘り下げてみると、実際にはリサイクル率は極めて低く、環境問題の一因ともなっています。さらに、利益の一部を環境保全活動に寄付しているとの表記がありますが、具体的な金額や活動内容は明らかにされていません。これらを見れば、SDGsウォッシュであると判断できます。

その他事例は以下記事を参考ください。

事例2:本当にSDGsに寄与している企業の取り組み

実際にSDGsへの貢献が見られる企業として、パタゴニアというアウトドアブランドを紹介します。この企業は、自社の利益の1%を環境保護団体に寄付する「1% for the Planet」を設立するなど、社会貢献活動を本質的なビジネスモデルに組み込んでいます

また、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減にも取り組んでおり、製品の修理やリサイクル、再販を行う「Worn Wear」プログラムを運営しています。これらの取り組みは、SDGsの目標である「持続可能な消費と生産」に直接寄与しています。

このように、パタゴニアは具体的な行動を通じてSDGsに寄与しており、その取り組みは一貫性と長期的視野を持っています。この企業の取り組みを見ることで、SDGsウォッシュを見抜くためのヒントを得ることができます。

事例3:消費者がSDGsウォッシュを見抜く実際のケース

SDGsウォッシュを見抜く消費者の実例を紹介します。ある人が、製品パッケージに「環境に優しい」と記載された洗濯洗剤を見つけました。しかし、その消費者はSDGsウォッシュを見抜くためのスキルを学んでいました。

彼は次のようなチェックポイントを活用しました。

  1. 企業のウェブサイトで環境対策の具体的な取り組みを確認
  2. 環境ラベルや認証マークがあるかチェック
  3. 成分表示を読み、環境負荷の低い成分が使用されているか確認

結果として、成分表示に環境負荷の高いものが含まれていたため、彼はその製品がSDGsウォッシュであると判断しました。このように、消費者一人ひとりが情報を確認し、批判的に考えることで、SDGsウォッシュを見抜くことができます。

その他具体事例は以下記事を参考ください。

SDGsウォッシュを見抜くためのスキルの重要性とその養い方

持続可能な社会への理解を深める

持続可能な社会への理解を深めることは、SDGsウォッシュを見抜くための重要な要素です。SDGs(持続可能な開発目標)は、世界中の課題を解決するための17項目の目標を設定しています。

具体的な取り組みを理解し、自分自身がどのように関与できるかを考えることで、企業のSDGsの取り組みに対する理解も深まります。また、それぞれの目標がどのように連携しているかを理解することで、一部の目標に対する 表面的な取り組みが、全体のバランスを崩す可能性も見えてきます。これがSDGsウォッシュを見抜くための視点を養います。

情報源の確認と批判的思考力の必要性

情報源の確認は、SDGsウォッシュを見抜くための重要なスキルです。企業の公式情報だけでなく、第三者による報告や評価を参考にすることで、より正確な判断が可能となります。

さらに重要なのは、批判的思考力です。情報を受け取った際、ただそれを受け入れるのではなく、自分で考え、疑問を持つことが求められます。以下に、批判的思考力を養うためのポイントを3つ挙げてみます。

  1. 情報の背後にある意図や目的を考える
  2. 一方的な情報に偏らないよう複数の情報源から情報を集める
  3. 自分の知識や経験を活用して情報を吟味する

SDGsウォッシュを見抜くためには、これらのスキルが必要不可欠です。常に疑問を持ち、情報源を確認し、自分自身で考えること。これがSDGsウォッシュを見抜くための鍵となります。

まとめ

SDGsウォッシュを見抜くためのポイントを再確認します。

1、持続可能性への具体的な取り組み: 企業が行っている取り組みが、持続可能な社会作りに対して具体的にどのように貢献しているのかを見極めましょう。

2、本質的なビジネスモデルの組み込み: 企業の社会貢献活動が、本業と直結したものであるかを確認します。単なるPR活動ではなく、ビジネスモデルに組み込まれていることが重要です。

3、長期的な視点での評価と改善: 企業が自身の取り組みを長期的な視点で評価し、改善を続けているかを見極めることも重要です。

これらのポイントを理解し、身につけることで、SDGsウォッシュを見抜く力が養われます。

SDGsを真剣に追求する企業は、ビジネスプロセス全体でその17の目標を実現する戦略を描きます。それは製品の開発から生産、流通までが含まれます。具体的には、生産過程でのCO2排出量の削減、地元コミュニティへの還元、労働者の福利厚生の向上などが挙げられます。

一方、消費者の役割も非常に重要です。購買行動は企業の方向性を左右する力を持っています。SDGsに対する理解と情報収集能力を高めることで、SDGsウォッシュを見抜き、真剣にSDGsを追求する企業を支えることができます。

以下の表は、企業と消費者がSDGsを追求する際の具体的な役割を示しています。

企業の役割消費者の役割
SDGs達成に向けたビジネスモデルの構築SDGsウォッシュを見抜く情報収集
持続可能な生産・流通プロセスの確立購買行動でSDGs推進企業を支持

消費者としてSDGsウォッシュを見抜き、真にSDGs活動をしている企業を支援するようにしましょう。SDGsに取り組みたいと考えている企業の方は私たち中小企業診断士に相談するのも手です。お気軽に近くの中小企業診断協会や中小企業診断士にご相談ください。