ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、通称ものづくり補助金とは中小企業・小規模事業者が事業拡大のために設備投資するときに有用な補助金です。グリーン枠やデジタル枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠なども設けられ補助金を受ける機会が増えています。
この記事では、ものづくり補助金の概要や申し込み資格、補助金の採択率、採択されるためにやるべき3つのことを解説します。
参考:『ものづくり補助金の公式ホームページ』
目次
ものづくり補助金の概要および補助金額
ものづくり補助金の公募要領を見ると、ものづくり補助金の概要は以下のように説明されています。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第12回公募要領
ものづくり補助金の種類や各種要件は以下になります。
項目 | 要件 |
---|---|
概要 | 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 1/2 小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
項目 | 要件 |
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概要 | 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 ※応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者に限る。 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
項目 | 要件 |
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概要 | DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
項目 | 要件 |
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概要 | 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 | 従業員数 5 人以下 :100万円~1,000万円 6人~20人:100万円~1,500万円 21人以上 :100万円~2,000万円 |
補助率 | 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
項目 | 要件 |
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概要 | 海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの) |
補助金額 | 1,000万円~3,000万円 |
補助率 | 1/2 小規模企業者・小規模事業者 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費 |
ものづくり補助金の対象者
ものづくり補助金を申請するために以下の条件を満たす必要があります。
資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。
以下の補助事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが完了する事業であること(原則、補助事業実施期間の延長はありません)
・一般型(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠):交付決定日から10ヶ月以内(ただし、採択発表日から12ヶ月後の日まで)。
・グローバル展開型:交付決定日から12ヶ月以内(ただし、採択発表日から14ヶ月後の日まで)。
【基本要件】 以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
以下に該当する場合は補助対象外になります。
・応募締切日前10ヶ月以内に、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(以下、同一事業とします。)の交付決定を受けた事業者及び応募締切日時点で同一事業の補助事業実績報告書を未提出の事業者
・過去3年間に、2回以上、類似の補助金*の交付決定を受けた事業者
*平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづく
り・商業・サービス生産性向上促進事業
・次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業者(みなし大企業)
(1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小
企業者
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
(4)発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有して
いる中小企業者
(5)(1)~(3)に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを
占めている中小企業者
※ 大企業とは、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者であり、資本金及び従業員数がともにアの表の
数字を超え、ウにも該当しない場合、大企業に該当します。また、自治体等の公的機関や海外企業等に関し
ても、中小企業基本法の範囲外であり、大企業とみなします。ただし、以下が株式を保有する場合は、その
保有比率等をもって上記のみなし大企業の規定を適用しません。
・中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
・投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
・公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課
税所得の年平均額が15億円を超える事業者
その他にも細かい条件があります。詳しくは公募要領を参照ください。
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金の採択率を以下にまとめました。
一般型の平均採択率は52%、グローバル展開型の平均採択率は31%です。
ものづくり補助金で採択されるためにやるべき3つのこと
ものづくり補助金公式ホームページのデータを見ると、加点が1個もない場合の採択率が29.3%に対して、加点3点のときに採択率79.5%、4点のときに81.7%と採択率が最大になっています。単純計算で加点を取ることで採択率を50%近く上げることができます。
加点対象は以下が挙げられます。(11次締切分公募要領より抜粋)
- 有効な期間の経営革新計画の承認を取得
- 創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
- パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
- 再生事業者
- デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況(デジタル枠のみ)
- 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得
- 賃上げ加点等
逆に減点項目としては以下の2点があります。
①応募締切日から過去3年間に、類似の補助金の交付決定を1回受けている場合
②回復型賃上げ・雇用拡大枠において繰越欠損金によって課税所得が控除されることで申請要件を満たしている場合
審査項目にはしっかりと目を通し、各審査項目に対するアンサーを適切に記載できているか確認しましょう。11次公募要領時点の公募要領は以下になります。
- 補助対象事業としての適格性 (補助対象事業の要件を満たすか)
- 技術面 (新製品・新サービスに革新性があるか、課題や解決方法が明確か、技術能力が備わっているか等)
- 事業家面 (社内外の体制や財務状況は補助事業を進めるにあたって問題ないか、市場ニーズは検証可能か等)
- 政策面 (地域経済に波及効果を期待できるか、差別化や潜在性は十分か、高い生産性向上が期待できるか等)
- 炭素生産性向上の取り組み等の妥当性 (グリーン枠のみ)
縮尺を間違えて読みにくい図を掲載しないようにしましょう。審査員は高齢の場合、せっかく良い図を作成しても視力の問題で読めない場合もあります。図は大きく分かりやすくを心がけましょう。
書類作成は中小企業診断士にご相談を
ものづくり補助金の書類作成はお作法があり慣れていないと時間が掛かるばかりか採択率にも大きな影響を受けてしまいます。事業者の皆さまの貴重な時間は本業に使う方がよっぽど有意義だと思いますので書類作成は中小企業診断士に相談することも1つの手です。
補助金でお困りのことがありましたらぜひお気軽にご相談ください。