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Web3.0とDAOを活用した地方自体による地域活性化・まちづくりの事例3選

Web3.0とDAOを活用した地方自体による地域活性化・まちづくりの事例

DAOはWeb3.0を語るうえで欠かせない概念の1つです。DAOはブロックチェーンの登場によって可能になった新しい形のコミュニティであるため、世界各地で運用方法の試行錯誤がおこなわれています。日本でもDAOによって地域活性化やまちづくりを目指す方々が居ます。この記事では、Web3.0とDAOを活用した まちづくり・地域活性化の事例を紹介します。

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DAOとは

DAO (Decentralized Autonomous Organization :自律分散型組織)とは、ブロックチェーン上で実行されるルールと共通のミッションを持った人たちが集まる非中央集権型の組織です。

通常のコミュニティには管理者やリーダーが居ますが、DAOでは組織の中心となる人物や団体がおらず上下の関係なく全員が平等で組織自体が自律的に活動し続ける形態です。

とはいえ、コミュニティの立ち上げ段階ではビジョンやミッションを掲げる旗振り役の存在は必要なので、最初はリーダーとなる人が組織づくりをし、徐々に権限を移譲していく形が現在の主流のようです。

DAOでは、さまざまなタイプのトークンを利用して参加者のインセンティブを調整することが可能になります。コミュニティに貢献すればするほど個人も報われる仕組みというわけです。

また、DAOの参加者は地理的制約も人種的な制約もなく、さまざまな人や組織が、それぞれの立場から貢献できるフラットな構造になっていることも特徴です。

DAOは新しい概念なので、世界各国で試行錯誤しながらの運営が行われています。これぞDAOの形という定義も明確にできていないように見受けられます。大げさかもしれませんが、全員が平等でありながらも自律的な組織運営が行われるDAOという形態は、これまでリーダーによって国や組織が運営されている今の世の中の構造に対して一石を投じる存在になりえるもしれません。

事例1 山古志DAO (新潟県旧山古志村) 

事例1 新潟県旧山古志村
Nishikigoi NFT

この記事でも何回か紹介していますが、やはりNFTアートをはじめとしたWeb3.0の最先端かつ有名な事例と言えば新潟県旧山古志村(現長岡市)です。

山古志村の人口はわずか約800人程度で高齢化率は55%の限界集落です。村の住民が地域活性化に向けて活路を求めたのはNFTでした。Nishikigoi NFTアートを販売し、これが注目されて山古志村はWeb3.0を活用して地域活性化に取り組む成功事例として広く知られるようになりました。

旧山古志村では現在「山古志DAO」に取り組んでいます。「山古志デジタル村民総選挙」を実施して、山古志地域を存続させるためのアイデアプランを募集します。NFTアートを購入した人にデジタル住民票を発行し、デジタル住民となった人の投票によってどのプランを実行に移すのかを意思決定し、実際にデジタル村民に一部の予算執行権限を付与してプロジェクト化して進めていくというプロジェクトです。

「山古志デジタル村民総選挙」の様子
「山古志デジタル村民総選挙」の様子

投票によって現在以下4つのプロジェクトが採択され、取り組んでいるとのことです。

  • 山古志村に滞在して滞在noteとvlogを作る
  • 山古志村からインスピレーションを得たアートを作る
  • NFTを集めて山古志村の財産にする
  • VRの世界にバーチャル山古志村を作る

いま日本で最も注目されているDAOの1つだと思います。これからの活動と発展にも期待できる事例ですね。

事例2 Furusato DAO (岩手県紫波町)

引用:『Web3タウンの取り組みについて(岩手県紫波町)

2022年6月、岩手県紫波町はWeb3タウンを目指すことを表明しました。

SOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社(本社:紫波町)と連携し、同社には以下の取り組みを依頼するとのことです。
(1) ブロックチェーン、NFTなどWeb3領域の技術の利活用による暮らし心地の向上に関すること
(2) Web3領域の技術の活用による地域の活性化に関する企画・立案
(3) 前各号に掲げるもののほか、目的を達成するために必要な事項

最初はNFTアートなどの販売を行い、将来的には「Furusato DAO」というDAOを立ち上げる予定です

Web3タウンの取り組みについて(岩手県紫波町) DAOイメージ
引用:『Web3タウンの取り組みについて(岩手県紫波町)

Furusato DAOでは、住民がDAO に参加し、 自治体ないし住民が買い物や雪かき、清掃などを発注します。これに対してDAO 内の誰かが対応して 対価としてトークンが支払いされる仕組みとなります。

自治体職員でなくてもできる業務や住民にお願いしたほうが効率が良い業務を、住民に協力してもらいDAO を通じて運用する形態です。


業務の対価として住民にトークンを付与し、自治体職員はコア業務への集中にすることで、支出、負担を削減する狙いとのことです。


課題が解決され、自治体の負担も減り、住民もボランティアではなく対価が得られる、三方良しを実現を目指しています。

事例3 美しい村DAO

引用:『美しい村プロジェクト

「日本で最も美しい村」連合は、「美しい村を、美しいままに。」をキャッチフレーズとして、全国61の地方自治体・地域と、66社の企業サポーター(正会員)、230の個人・企業・団体(準会員)で構成されるNPO法人です。

『美しい村づくりプロジェクト』では、日本政府が提唱する『デジタル田園都市構想』及び『新しい資本主義』の具現化に向けたアイディアやスキルを共有するためのDXコミュニティ『美しい村DAO準備室』をまずは立ち上げ、加盟村が抱える社会課題の解決方法を提案します。『美しい村DAO』の正式ローンチは、2023年4月を予定しているとのことです。

本プロジェクトは、デジタル村民(=ファン)が購入する美しい村発行のNFT収入による事業の自走を見込んでいます。また、ブロックチェーン技術を使ったDAO方式での相互互恵関係は、参画組織、団体における人的リソースの軽減と、様々な立場からの知見の吸収や深化を可能とし、「日本で最も美しい村」連合加盟町村のブランド力向上および更なる発展への取り組みを期待できます。

まとめ

まだDAOの運営と聞いてもあまりピンとこない状況ですが、今後様々な所でDAOが設立・運営されることで段々と最適な在り方というものが見えてくるのだろうと思います。

海外の事例で言えば、Satoshi Islandという世界初となる現実世界の島の土地をNFT化して販売を行うバヌアツ共和国公認のNFTプロジェクトもあります。バヌアツ共和国は世界のCryptoの中心地となることを目指しており暗号通貨に関して優しい法律を制定しており、NFTを購入した人に土地を与え、島全体を巻き込んだDAOを運営しています。

このように人間のコミュニティの形を新しいものにする可能性をDAOは秘めているように見えますので今後の動きに注目していきたいと思います。