Microsoft社が提供しているヒートマップツール「Clarity」は無料でありながらも有料のヒートマップに劣らない機能を有しており、かなり便利なツールです。以前Clarityの良い所や導入方法を紹介しましたが、今回はClarityを使って本ホームページ3か月間のデータを実際に分析してみました。
Clarityの詳しい説明や導入方法を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
関連記事:『WordPressで無料のヒートマップ「Clarity」を導入する方法と3つの特徴』
目次
Clarityの特徴と導入方法
ClarityはMicrosoft社が提供している無料のヒートマップツールです。無料にも関わらずデータ分析はほぼリアルタイムで表示され、利用するホームページの数に制限がなく、トラフィック(分析できる閲覧数)の制限もないので大規模のウェブサイトでも使用することが可能です。
Clarityには大きく3つの特徴があります。
- 無料なのに優良ツール顔負けの豊富な機能
- ビデオトラッキングができる
- Googleアナリティクスとも連携可能
この記事では、より実務的なところにフォーカスを当てたいと思いますのでより詳しい特徴や詳細の導入方法を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
『WordPressで無料のヒートマップ「Clarity」を導入する方法と3つの特徴』
Clarityのデータをチェック-数値-
Clarityにログインしてダッシュボードを開きます。
初期設定だと恐らく「Last 3 days」、つまり直近3日間のデータが表示されているかと思います。今回は過去3カ月の振り返りをしたいので「Last 3days」をクリックしてデータ表示期間を変更していきます。
User infoの項目「Custom」を選択し、任意の期間(今回は過去3か月間、8/1~10/30)を選択して画面右上の「Apply」をクリックします。これでデータ表示期間が3か月に変更されました。
ちなみにデバイス(PCやスマートフォン)などでもフィルターをかけることが出来ます。
こんな感じでサマリーが表示されます。
それぞれピックアップしてデータを見ていきましょう。
項目 | 数値 |
---|---|
①Total Sessions | 643 |
②Distinct users | 433 |
③Pages per session | 1.59 average |
④Scroll depth | 42.22% average |
⑤Time spent | 1.1 min active time, 4.3 min total |
それぞれの項目の意味は以下になります。
①Total sessions=トータルの訪問数
②Distinct users=個別のユーザー数
③Pages per session = ユーザー1人あたりの訪問ページ数
④Scroll depth = 読了率。ページがどこまで深くスクロールされたか
⑤Time spent = ページの滞在時間。タブブラウザ等で前面に来て操作している状態がactive、それ以外がinactive
ページ回遊性が1.59なので2ページ以上まで上げることを当面の目標とします。その場合、内部リンクをもっと興味を持って貰える形で設置したり、それにふさわしい記事を用意する等の対策を講じることが考えられます。
僕の書く記事は3,000~5,000文字くらいが多いのですが、Scroll depthが40%くらい見られているのは結構見て頂けているなという印象でした。お問い合わせフォームなどのコンバージョンポイントを設置する場合は全体の40%より上面に設置した方が、ポイントを見られる可能性が高まりコンバージョン数が増えると考えることができます。
いまは中小企業診断士として修業中の身でありお問い合わせが来てもあまり対応出来なさそうなのでコンバージョンを全く意識していませんが、今後お問い合わせを積極的に増やしたくなった場合はそこを意識して記事を書いていくことになるでしょう。
項目 | 数値 |
---|---|
⑥Dead clicks | 0.78% |
⑦Quick backs | 5.3% |
⑧Rage clicks | 0% |
⑨Excessive scrolling | 0% |
⑩JavaScript errors | 0.16% |
それぞれの項目の意味は以下になります。
⑥Dead clicks =ユーザーがリンクでない箇所をクリック(タップ)した割合
⑦Quick backs= ユーザーがすぐにページを移動した割合
⑧Rage clicks = 狭いエリア、ほぼ同じ箇所を何度もクリック(タップ)した割合
⑨Excessive scrolling = 高速スクロールや上下のスクロールを何度も繰り返す等の行動が検出された割合
⑩JavaScript errors = ページ内に導入されているJavaScriptでエラーが検出された割合
基本的に⑥~⑩はユーザーがホームページを快適に利用してくれているかを確認するための数値となります。今回の僕の結果でいうと、あまり問題視しなくて良いかなと思いましたが、仮に問題が起きたときの改善策を軽く紹介しておきます。
⑥Dead clicksの数値が大きい場合、リンクがあると思ってクリック・タップしたけど実はリンクがなかったみたいな紛らわしいテキストカラーや画像が使われている場合が考えられるので変更しましょう。
⑦Quick backsでは、アクセスしたのにすぐページ移動してしまうときに考えられるのは遷移先が期待外れだったか、ボタンを間違えて押してしまったか等が考えられます。この数値が高い場合、記事の内容や導線設計を見直す必要があります。
⑧Rage clicksはユーザーが苛立ったときによくある挙動です。クリック・タップし辛い、リンクURLが近すぎてなかなか目的の箇所を押せないなどが考えられます。この数値が高い場合、インターフェイスや記事内のレイアウトの見直しをしましょう。
⑨Excessive scrolling が高い場合は、探しに来た情報が見つからない、ページのどこに何が書かれているかわからないなどのユーザーの気持ちが読み取れます。これを改善するときはClarityの機能であるビデオトラッキングを利用して、ユーザーがどこでそのような状況に陥っているかを確認して問題点を洗い出し、対策を打つと良いと思います。
⑩Popular Pages は名前の通りホームページ内の人気ページランキングです。
3か月で一番アクセスがあったのは先ほど紹介したClarityの解説記事でした。この結果を見て、Clarityに興味がある人多いんだなーと思い今回の記事を企画したというのが裏事情です(笑)
⑪Referrers はどこから本ホームページに辿り着いたのかを表しています。僕はTwitterで記事の宣伝をしているのでTwitterからの流入が多いですが、最近はSEO経由での流入がだいぶ増えてきており10月単体でみると一番流入が多いのはGoogleでした。
⑫Browsers はどんなブラウザでホームページを見ているのか、 ⑬Devices は何で見ているのかが分かります。
WordPressを利用していると、ブラウザによっては不具合が起きてしまうプラグインがある場合もあるのでどのブラウザで見られているかは把握しておいた方が吉です。
Devices については一般的にはMobileの割合がPCより大きいケースが多いのですが、僕の取り扱うジャンル(地域活性化、Webマーケティング、経営)みたいなビジネスライクなものはPCの方が見られる割合が大きいこともあります。
もしSPの割合が圧倒的に高くなったらPCのユーザビリティは全く考慮せずSPに全振りするかもしれません。モバイルフレンドリーはSEOで評価されますしね!
⑭Operating systems はどのOSで見られているのかが分かります。ホームページにアプリインストールを設置する場合、iOSとAndroidの両方を用意する必要があると思いますが見られてるOSの割合でどちらを先に実装するか優先度を決める等の判断材料に使えます。
⑮ Countries はどの国から見られているのかが分かります。日本語でしか書いてないので日本からのアクセスが90%以上だろうなと思っていましたが今回意外とアメリカからも見られていました。
こうなってくると英語圏も意識した記事やインターフェイスを用意しようかな…なんて考える方針にも繋がります。
Clarityのデータをチェック-ヒートマップ-
さきほども紹介したClarityの記事のヒートマップを見てみます。
目次のクリック状況を確認すると「Micrrosoft Clarityの導入方法」が特にクリックされていることが分かります。
この結果を踏まえて、次回リライトをするときはよく見られているこの項目を中心に加筆修正することで、よりユーザーの興味関心を惹く記事にできると考えられます。
サイドメニューがクリックされる割合は5.43%とあまり高くありません。今後ユーザーの回遊性を上げるためにサイドメニューに魅力的なコンテンツ、見やすいインターフェイスに改善していく必要性がありそうです。
記事の一番最後まで読まれている割合は7.1%でした。これは経験上比較的良い感じだと思います。そのため、この記事は終始ユーザーにとって魅力的な記事に出来ていることが推察できます。
Clarityのデータをチェック-ビデオトラッキング-
ビデオトラッキングによりユーザーの実際の動きを確認できます。
どの部分が良く見られ、どの部分が飛ばされているのかがすぐに分かります。
よく読まれていると箇所を上部に持ってきたり、あまり読まれていない所は書き方を修正するか削除するなどの対策が考えられます。
まとめ
このようにMicrosoft Clarity は上手に使えばホームページの改善を効率よく進めていくことができます。Googleアナリティクスなどと合わせてホームページの改善を進めれば、より良い成果が出せるようになります。
この記事が皆さまの何かしらのお役に立てるととても嬉しいです!
何かお困りごと等があればお気軽にご相談ください。