マーケティングあるいは商品企画担当となった方は時には新製品を開発する機会もあるかもしれません。そのようなときにどのような手順で新製品を開発すれば分からなくて困ることもあるのではないでしょうか。この記事では、新製品開発のプロセスについて中小企業診断士が解説します。
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目次
新製品開発プロセスのアウトライン
新製品開発プロセスの一般的なアウトラインは以下の流れになります。
①アイデアの創出
②スクリーニング
③製品コンセプトの開発
④マーケティング戦略の検討
⑤経済性の評価
⑥試作モデルの開発
⑦テストマーケティング
⑧市場導入
これから1プロセスずつ解説していきます。
①アイデアの創出
まず最初にやるのは、どんな製品を作ろうかアイディアを出すことです。アイディアを出す時に役立つのがシーズ発想とニーズ発想です。
シーズ発想は自社の強みを何かに利用できないか考える事で、ニーズ発想は顧客の困りごとや必要としていることを解決する方法はないか考える事です。
また、アイディアは1人でやらず出来るだけチームでやる方が、多様な意見が出ることでイノベーティブなものを作れるチャンスが拡がります。この際にはブレイングストーミングが役立ちます。
ブレインストーミングは、既存の枠にとらわれず自由な発想からアイデアを創出する手法です。参加者がひとつのテーマに対して、あらゆるアイデアを発言していきます。否定や反論をせずに意見を出し尽くすことを目的とし、質より量を重視します。自由発言からの活発な意見交換や刺激により、多種多様な考えを導き出せる可能性が生まれます。
②スクリーニング
さまざまなアイディアが出たら、今度はアイディアを集約していきます。経営理念や事業戦略、経営資源など多様な観点を踏まえて絞り込みます。潜在価値の高いアイディアを棄却してしまうドロップエラーや潜在価値の低いアイディアを採用して開発を進めてしまうゴーエラーに気を付けましょう。
③製品コンセプトの開発
スクリーニングをして情報が集約出来たあとは製品コンセプトを決めます。製品コンセプト自体が顧客の購買理由や市場価値となるように明確化する必要があります。これを曖昧なまま進めると各部門の行動や担当者の意思決定に統一性がなくなってしまい結局何が何だか分からない商品が出来上がってしまうリスクが高まります。
製品コンセプトのタイミングでポジショニングやターゲットとする市場も固めます。
④マーケティング戦略の検討
製品コンセプトが固まったらマーケティングの基本戦略を決めます。これらはマーケティングの4Pとも呼ばれる、製品、価格、チャネル・物流、プロモーションの観点で決めていくのも良いでしょう。
製品 Product | 製品の物的性質・特徴、品質、ブランド、保証、パッケージ、アフターサービス、製品の種類など |
価格 Price | 価格政策、価格設定法、価格変更の理由と時期、値入れ、値下げ、割引など |
チャネル・物流 Place | 流通経路、流通業者の選定・評価、倉庫の数・リッチ、倉庫の設備、輸送手段・頻度、適正な在庫量 |
プロモーション Promotion | 広告目的、広告予算、広告媒体、広告表現、広告効果測定、販売員の人数・教育訓練、業績評価、パブリシティの目的・対象・実施方法など |
⑤経済性の評価
おおまかにマーケティング戦略が決まったら、その製品事業に関する経済性を分析します。つまり、製品の予想売上高や利益、原価などをいくつかのパターン(ベストケース、ワーストケース)でシミュレーションをして採算性を確認します。
⑥試作モデルの開発
マーケティングと開発の議論により、具体的な製品への落とし込みが始まり、試作品を物理的側面と心理的側面の両方から比較検討します。製品化が決定した場合、必要に応じて特許の申請をします。
⑦テストマーケティング
地域を限定した実験販売を行い、最終的にデザインなどの様々な製品仕様を決定します。この決定は、その後おこなう生産数量の決定、広告、販売促進、流通経路の決定などのマーケティング活動をより効率的に行うための最終調整の場でもあります。テストマーケティングは、競合他社に新製品を見られる可能性があるということに留意する必要があります。
⑧市場導入
スムーズに市場導入し、一気に事業基盤を築くための戦術づくりに力を注ぎます。経営資源を大量投入する新製品の導入は重大な意思決定であり、仮に新たな問題が発見されたらフィードバックを行い、戦略の再検討を行う必要があります。
まとめ
新製品の開発プロセスをご紹介しました。大まかな流れはご理解いただけたかと思いますが、いざ実際に自分でやってみると「ここはどうやって考えるんだろう?」と悩むことも多々出てくると思います。
そのようなときはマーケティングに強い中小企業診断士に相談することも手です。状況によっては、補助金獲得のための経営計画書作成やマーケティングやその他の適切な専門家を紹介してもらえる等中小企業診断士尾利用するメリットは様々です。
ご自身で作成された場合も第三者の客観的な意見があると新しい視点が見えてくることもあると思います。いずれにしてもこの記事を見た方のマーケティングが上手くいくことを心よりお祈りしています。