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ゆるキャラの炎上マーケティング、その後どうなった?

ゆるキャラ炎上マーケティングそのあとどうなった

こんにちは!グシオです!

最近ゆるキャラを使った地域活性化マーケティングに関する記事がSEO経由でアクセスが増えています。僕自身ゆるキャラが好きなので見て貰いたい記事を見て貰えるのはとても嬉しいです!みなさまありがとうございます!

地域活性化や町おこしを考えるうえで、観光スポットやグルメなどと同じくらい ゆるキャラ はパワーのあるコンテンツだと僕は思います。でも、ゆるキャラをうまく活かせている地域もあれば全く活かせていない地域があることも事実。その分かれ目がマーケティングの差であると前回記事で書かせて頂きました

前回記事:『“ゆるキャラ”で地域活性化を促進するマーケティング手法とは

ところでマーケティングには炎上マーケティングと呼ばれるものがあります。意図的に批判される言動をすることでメディアや話題に取り上げられることを狙った手法です。そのときの好感度は間違いなく最低ですが、全く認知されない状態からは脱却できるという諸刃の剣。好きの反対は無関心と言われるように、嫌われても良いから知られたいということですね。

YouTuberや芸能人が炎上マーケティングをしているイメージがありますが、ゆるキャラも炎上マーケティングをした事例があります。地域の看板を背負っているはずなのに、思い切ったことをするものだと思いますが中の人にしか分からない苦悩や重圧もあったのかもしれません。

この記事では、炎上マーケティングをした ゆるキャラとその地域が今どうなっているのか、何か成果が出たのかを調べてみようと思います。いつもポジティブな事例を題材にしていたので事例の実名を出しても問題ないと判断することが多かったのですが、今回はセンシティブな内容なので実名を出そうか迷っていました。しかし起きたことを真摯に受け止め、前へ進もうとがんばっている地域も多いので、そういうところも含めて紹介するために実名で事例を紹介したいと思います。

事例1. 行き過ぎた毒舌で炎上した北海道長万部「まんべくん」

まんべくんに何があった?

「ゆるキャラ 炎上」とGoogleで検索したら上位にいくつものニュース記事やブログ記事が出てくる ゆるキャラがいます。北海道長万部町のゆるキャラ「まんべくん」です。

むかし僕が北海道を18切符で旅しているとき長万部にも立ち寄りました。そのときに、まんべ君のクッキーを買って食べたのですが当時は炎上のことなど何も知らずシュールなキャラデザインだなぁとか思ってました。そのとき撮影した写真がまだ残っていたので紹介します。

長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のクッキー

まんべくんは、2003年に「長万部町開礎130年町制施行60年」の記念事業でのキャラクター公募で誕生した ゆるキャラです。最初は知名度がまったくなかったのですが、2010年に長万部生まれのウェブ制作会社の男性がプロモーションを請け負いTwitterを始めました。毒舌なツイートで人気を得るようになりフォロワーも約9万人になりました。

全方位に毒舌をまき散らしているため、心配の声も当時挙がっていたそうなのですが悪い予感が的中することになります。炎上のキッカケは2011年に太平洋戦争に関してTwitterで呟いたことです。

「明日は終戦記念日だからまんべくん戦争の勉強するねッ!」
「戦争のドキュメンタリー番組を見たッ!当時の日本は北朝鮮状態な件」
「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」
「日本の犠牲者三百十万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数二千万人」
などとツイートしました。

これによって多くの反発が起き、長万部町は町の公式な発言ではないこととTwitterのアカウント停止、まんべくんのプロモーションを依頼していた男性の使用許諾権禁止を発表しました。

それから10年以上の歳月が流れ、まんべくんはどうなったかというと…

長万部観光協会BLOG

Google検索で「長万部」と入力すると未だにサジェストに炎上の検索ワードが出てくるので過去にあった出来事は知られやすい状況にあります。しかし、長万部観光協会Blogでは、まんべくんを今でも起用し、まんべくんに関する記事もあげていますがそこに対して批判のコメントなどはありません。Twitterでも、まんべくんに関するネガティブなツイートは見かけませんでした

炎上した当時、まんべくんそのものを廃止する方がずっと楽な道だったはずです。そうするのではなく、批判を受け止めて事実と誠実に向き合い、まんべくんを起用し続けてきた。長い時間を掛けて前を向いて進んだことにより嫌悪感はほぼ払拭されたのではないかと思います。これは長万部町の努力の賜物ですね。

また、2019年には東京理科大学インベストメント・マネジメント株式会社とAIエンジン開発を行う「SELF株式会社」が、まんべくんをAI化しました。会話コミュニケーション型のプロモーションサイトで、長万部町のふるさと納税のPRや、ユーザーとの会話からその人にあわせた長万部のおすすめスポットやグルメの紹介をしています。マイルドな毒舌キャラになっていて不快感なくコミュニケーションを楽しめると思います。

結果として、まんべくん により長万部に訪れる人がたくさん増えたかと言うとそんなに成果に繋がっていないかもしれません。これまではネガティブイメージを払拭するフェイズでした。これからは成果へ繋げていくための取り組みに移行するフェイズと言えるでしょう。これからの取り組みに注目です。

みなさまもマイルドな毒舌ゆるキャラ「まんべくん」に会いに北海道長万部町に行ってみてはいかがでしょうか!

事例2.ゆるキャラグランプリの組織票で炎上した三重県四日市「こにゅうどうくん」

こにゅうどうくんに何があった?

続けて紹介するのは三重県四日市のゆるキャラ「こにゅうどうくん」です。

こにゅうどうくんは、市制100周年(1997年)の記念の年に生まれた四日市市マスコットキャラクターで、名前は公募できまりました。こにゅうどうくん自体は悪いことはしていないのですが、2018年のゆるキャラグランプリで事件が発生しました。

ゆるキャラグランプリのこにゅうどうくん
ゆるキャラグランプリ「こにゅうどうくん」

ゆるキャラグランプリでトップを取るために、三重県四日市市は大量の「組織票」を入れたのです。市の職員がフリーのメールアドレスで投票用のIDを約1万8千作成し、「業務」として投票していたことが明らかになりました。1人当たりの1日平均投票数は、最も多い部署で200票が行われ、約38万票が無効な投票になったとのことでした。

2013年頃から組織票が問題視されていたとのことで、ゆるキャラグランプリの実行委員会は不正アカウントをチェックし、不正とみられるアカウントからの投票は「無効」とみなすようにしていました。2018年は過去最大級の組織票が発生してたようで、こにゅうどうくん以外にもイヌナキン(大阪府泉佐野市)は約48万票、ジャー坊(福岡県大牟田市)は約25万票が無効な投票が発生したとのことです。

当時はくまモンやふなっしー等の影響で、ゆるキャラブームでした。特にゆるキャラグランプリは各地域のご当地ゆるキャラが認知を拡大するビッグチャンスでしたので、ゆるキャラによる経済効果を狙う市がこのような組織票を行ってしまったのだと思われます。

それから4年以上の歳月が流れ、こにゅうどうくん はどうなったかというと…

ふるさとチョイス

クラウドファンディングで目標金額を集め、応援コメントも寄せられる等こにゅうどうくんは今もなお人気のようです。自治体の組織票で炎上してしまいましたが、こにゅうどうくん自身が何かをやったわけではないので大きな影響は受けなかったと思われます。また、四日市だけではなく他の地域でも組織票が行われており炎上の火種が分散していたことも一因としてあるかもしれません。

余談ですが、ゆるキャラグランプリは2020年に終了し10年の歴史に幕を閉じました。

理由としては新型コロナウィルス感染症のように思えますが、一番の理由はゆるキャラが増えすぎて人々の記憶に残りにくくPR効果が得られにくくなったことや、PR効果の測定も難しいこと、ゆるキャラブームが過ぎたこと等があるようです。

悪い意味で話題になってしまいましたが、こにゅうどうくんは精力的に活動して頑張っているので、みなさんも三重県四日市に訪れて こにゅうどうくんに会いにいってみてはいかがでしょうか!

事例3.デザインがキモくて炎上した可哀そうな子、奈良県「せんとくん」

せんとくんに何があった?

最後に紹介するのは奈良県のゆるキャラ「せんとくん」です。誰も悪いことをしていないのに炎上してしまった可哀そうな事例です。

奈良県ホームページ

せんとくんは、2010年に奈良県で開催された平城遷都1300年記念事業の公式マスコットキャラクターでしたが、2011年から奈良県のマスコットキャラクターとなりました。

この せんとくん登場当初はかなり叩かれていました。見た目がキモイ、不気味、なぜこんなデザインにしたと言われたり仏様に角を生やした風貌が「仏様を侮辱している」と仏教界からも批判されることもありました。

当時の報道によれば、市民からは1000通を超える苦情が寄せられ市民団体がマスコット化の白紙撤回を求め、街頭で署名活動までするという事態に発展しました。

奈良経済新聞

あまりにも不人気すぎたからか、奈良県が新キャラの「しかまろくん」を誕生させ、「せんとくん」ではなく「しかまろくん」を推し始めたような動きも見られたため、世間奈良経済新聞が「せんとくんに死亡説?ネット上に話題に」という記事まであげられることもありました。※実際は、せんとくんもちゃんと活動頑張っていました。

そんなこんなでキモイマスコットとして せんとくんは メディアなどでも騒がれるようになりました。

生誕から14年の歳月が流れ、せんとくん はどうなったかというと…

日経新聞

最初はキモイと言われつづけていた せんとくんですがだんだん見慣れてきてキモカワイイように見える人が続出したようです。くまモンと同じくライセンス料の無償化をしたことによって関連グッズも続々と販売され、2018年時点でせんとくんの経済効果は2105億円であったと関西大の宮本勝浩名誉教授が発表しました。

参考記事:日経新聞『「せんとくん」経済効果2105億円 宮本・関大名誉教授が誕生10年で試算

2022年現在は、新型コロナウィルス感染症やゆるキャラブームが終わったこと等によりパッとしなくなっていますが一時期のようにキモイと言われることもなくなっています。まさに継続は力なり。せんとくんはこれからも活躍することでしょう。

まとめ

このように、ゆるキャラの炎上マーケティングといっても様々あります。ゆるキャラ自身が何かやったり、関係者が何かアクションを起こすこともあれば、ゆるキャラ自身も関係者も何もせずデザインそのもので炎上させ話題性を狙っていくパターンもありました。正直炎上マーケティングと定義して良いのか?と思う部分もありましたが、なるべくユニークなネタを取り上げたかったのでこのような選出とさせて頂きました

共通して言えることは炎上した ゆるキャラたちは今現在嫌われていないということです。人の怒りや不満はそんなに長続きするものではありません。元々地域を活性化させるために、人々を楽しませるために生まれたゆるキャラなのですから、やはり嫌われるよりも好かれてなんぼですね!

今回取り上げた長万部、四日市、奈良にはこれからもゆるキャラたちと共に頑張って貰いたいです!僕は3地域とも訪れ遊んだこともありますが、それぞれに良さがあって良い地域だと思います。

ブームが過ぎてしまった ゆるキャラではありますが僕個人としては ゆるキャラが好きなので今後も記事のトピックとして取り上げていきたいと思います!

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