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AR(拡張現実) / MR(複合現実)を使ったマーケティングの可能性

AR・MRを使ったマーケティングの可能性を考える

こんにちは!グシオです。

世間ではメタバースやVR(仮想現実)が盛り上がっていますが、個人的にはAR(拡張現実) / MR(複合現実)の方が気になっています。最近ではアメリカを中心にARを使ったマーケティング施策も増えてきており今後日本でも大企業だけではなく中小企業も含めて普及が加速化していくと考えています。この記事ではARやMRを使ったマーケティングにの事例を踏まえながら考察します。

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AR(拡張現実) / VR(仮想現実) / MR(複合現実)とは? 違いはなに?

端的に言えば、AR(拡張現実)はリアル世界のなかでデジタル情報を映すもの、MR(複合現実)はARで映し出されたデジタル情報を触ったり操作できるもの、VR(仮想現実)は完全なバーチャル世界を体験できるものです。

それぞれもう少し詳しく解説します。

AR(拡張現実)とは

拡張現実は英語でAugmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)、頭文字を取ってARと呼びます。スマートフォンやARスマートグラスを通してリアル世界のなかにバーチャルな視覚情報を加えて現実環境を拡張します。

グローバル市場調査会社であるGrand View Research社の調査によれば、ARの世界市場規模は2020年時点で176億7,000万米ドルであり、2028年まで年平均成長率43.8%で拡大すると予想されています。

各国でARの普及が進む分野として、製造、医療、エンタメなどさまざまなジャンルが考えられますが日本ではエンタメで多く採用されているイメージです。

引用:『ポケモンGO公式ホームページ

ARの代表的な例としては「ポケモンGO」があります。スマートフォン片手に外を出歩き、出逢ったポケモンを捕まえる。さながらポケモンの世界に入り込んだかのような体験ができます。テレビゲームとは違い、実際に外を出歩くのでダイエット効果が出た人や、健康になった人、ポケモンGOで普段交流ない人と交流できるようになった人も居るそうです。

引用:『CNET Japan

最近ではTikTokなどのアプリでもARを使った動画エフェクト素材が増えており、Meta社(旧Facebook社)でもSpark AR(Meta社が提供するAR機能)について無料で学べるオンラインカリキュラムを提供すると2022年9月に発表しました。今後需要が急増するであろうARクリエイターを育てて市場を活性化させるための施策であると考えられます。

VR(仮想現実)とは

仮想現実は英語でVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)、頭文字を取ってVRと呼びます。

専用のゴーグルで360°のバーチャル映像を映すことで、実際にその空間にいるような感覚を得られます。近年ではこれをさらに発展させて、映像の中を自由に移動できたり、ものを動かしたりといった没入感の高い体験も可能となっています。

引用:『VR ZONE公式ホームページ

日本ではVRもエンタメで使われることが多いイメージです。VRアトラクション体験施設「VR ZONE」など全国各地にVRで遊べる施設が増えています。

MR(複合現実)とは

複合現実は英語でMixed Reality(ミックスド・リアリティ)、頭文字を取ってMRと呼びます。ARでは、リアル世界にデジタル映像をただ映しだすだけですが、MRではデジタル映像の後ろに回り込んでみたり、手で触って動かしたり操作できます

MR技術はマイクロソフトが一歩抜きんでている印象です。マイクロソフトではMRを見る為のスマートグラス「HoloLens 2」を販売しており、トヨタなどの製造業、島原市などの観光レジャーですでにMRが実用化もされています。

「HoloLens 2」はデバイスのみで現在383,800円もするので、もう少し世に広く普及するためには技術が進歩して廉価版のスマートグラスが出るのを待たないといけないかもしれません。

最近ではMeta社もスマートグラスの開発に力を入れているようなので今後の技術動向にも

複合現実(MR)のイメージ

アイアンマンにみるMixed Reality(複合現実)の例

映画「アイアンマン」のアイアンスーツを設計するシーンや上記YouTube動画のシーンはまさにMixed Reality 複合現実技術ですね。

たとえばですが、3Dホログラムで映し出された巨大なガンプラのパーツを友達と一緒に組み立てるなんてこともMRでは出来るかもしれません

AR(拡張現実)を使ったマーケティング施策例

アメリカではオンライン販売やECでAR技術がよく使われていましたが、最近では印刷物や店舗内の製品マーケティング戦略でもますます一般的になりつつあるようです。

AR を使ったデジタルマーケティング戦略には、オンラインの買い物客にインタラクティブでより有益な製品体験を提供することが含まれることが多くありますが、ARをオフラインで活用する場合も同様のことが言えます。

ARを使ったマーケティング施策の一例を紹介します。

観光・地域活性化のAR×マーケティング

ARは、全国の自治体や観光協会、レジャー施設などで地域や観光資源の活性化を目的としたイベントやPR活動に活用されています。たとえば、レジャー施設や歴史的建造物のパンフレット・パネルや外交人観光客向けの多言語対応AR動画ツアーなどが挙げられます。

アパレルのAR×マーケティング

店頭に巨大ディスプレイを設置し、AR技術を活用して顧客の着せ替え体験を提供するマーケティング手法があります。これにより顧客は自分自身のコーディネイトをより楽しく、より鮮明に考えることができ購買意欲を高めます。

食品のAR×マーケティング

飲食店のメニュー表や食品のパッケージを読み込むことで、商品のイメージや成分情報を表示する施策があります。これにより写真や文字だけでは伝わりにくいことをより鮮明に伝えられるので顧客の商品探しの手助けになります。

BtoBのAR×マーケティング

ARはBtoCだけではなくBtoBでも活用できます。たとえば名刺やパンフレットにARで動画や詳細情報の表示する施策が挙げられます。営業分野では紙ベースの資料にARで視覚効果の高い動画や立体による説明や詳細情報の表示が用いられています。小売と同じように販売促進に活用することで、文字や平面図、写真では伝わらない魅力を伝えることができます。

MR(複合現実)を運用している企業例

南紀白浜エアポート-地域活性化-

南紀白浜エアポート、NEC、凸版印刷、マクニカ、日本航空(JAL)の5社は6月14日、和歌山県の南紀白浜空港において、仮想空間にあるデジタルコンテンツと滑走路などの現実空間を融合させた「MR空港体験」の実証実験を開始すると2022年6月に発表しました。

引用:『日経新聞「南紀白浜で「MR空港」実験 仮想飛行機が実寸で着陸」

MR空港体験は、仮想空間上の飛行機へ自由にペイントを施し、そのペイントしたオリジナル飛行機が、実際の滑走路に実寸大のサイズで着陸する様子を見ることができるサービスです。

MRグラスを装着した家族や友人など複数の参加者が一緒に、仮想空間上の飛行機へペイントします。ペイント体験後、実際の飛行機の離着陸地である羽田空港から南紀白浜空港までの地形を3D化したフライトレーダーが、MRグラスを装着した参加者達の目の前に出現し、羽田空港を出発したオリジナル飛行機が南紀白浜空港まで飛行する様子や、日本上空を運航しているオリジナル飛行機を確認できるとのことです。

地方自治体が地域活性化のためのマーケティングを考えるうえで大きなヒントになりそうなユニークな実験だと思いますので、今後どうなっていくか注目したいところです。

トヨタ自動車-モノづくりの効率化-

日本マイクロソフト株式会社は、トヨタが、Mixed Reality (複合現実、以下 MR) デバイスである HoloLens 2 を、2020 年 10 月より全国の GR Garage 56 店舗に順次導入し、自動車の整備作業の効率化やトレーニングで活用を開始されたことを発表しました。

現場の整備士)が自動車の修理、整備作業を行う際に参照するサービス技術情報 (修理書、配線図等) は、イラストや文字などの 2D データが主に使われているため、実車での正確な位置や、勘やコツなどの情報を伝えるのが難しいことに加えて、CASE などの複雑化多様化する情報への対応において課題がありました。そこで、トヨタは最新の Mixed Reality テクノロジと 3D データの活用により効率的で正確な作業を支援できないか検証を進めたとのことです。

引用:『マイクロソフト「トヨタ自動車が全国の GR Garage に HoloLens 2 を導入開始」

自動車のパーツや用品の取り付け手順を、3D ホログラムを用いて、自動車に重ね合わせて表示することで、トレーニングや実際の作業時の作業ガイドとして使用できるとのことです。

引用:『マイクロソフト「トヨタ自動車が全国の GR Garage に HoloLens 2 を導入開始」

業務効率化や新人のトレーニングの効率化、間違い防止などモノづくりの現場でも色々な効果が期待できそうですね。Webの技術では日本は後れを取っていますがモノづくりは強いと思いますので、MRを活かしてモノづくり現場が活性化すれば日本の競争力も今後高まる期待感があります。

島原観光ビューロー-地域活性化-

引用:『島原城公式ホームページ

島原観光ビューローは、MR歴史体験コンテンツ第一弾「Son of God 天草四郎 ~島原城に舞い降りた奇跡~」を2021年4月10日(土)に公開しました。

ホログラムの天草四郎が降臨し、キリスト伝来~島原の乱といった歴史をドラマ的にガイドするというもの。リッチなMRホログラム体験と、ハンドトラッキングを活用した「触る」歴史を最大4人同時に体験できます。普段さわることのできない展示物(踏み絵)などを、ホログラム化して手に取り、様々な角度で自由にみたり、大きくして細部を見れるサービスとのことでした。

今までは音声ガイドばかりでしたが今後はこのように見て、聞いて、触れるガイドも増えていくかもしれませんね。

まとめ

VRやメタバース、Web3.0も確かに魅力的なのですが、それに劣らずARやMRにもまだまだ大きな可能性があると思います。このような技術を使うことで中小企業はもちろん、地域活性化をしたい地方自治体のマーケティングをより良いものにできると考えています。

MRを表示するためのスマートグラスについて、現在はマイクロソフトのHoloLens 2(ホロレンズ)が主流ですが結構良い値段です。現在はMeta社などもスマートグラフの開発に力を入れており、もう少し技術が進歩すれば廉価版も出てきて一般ユーザーでも手軽に使えるようになることが予測できます。

しばらくはアメリカが技術先行するとは思いますがMRであれば日本のモノづくりと相性がよく再び勢いのある日本を創り出すことも夢ではないかもしれません。今後MRはますます便利に、より身近な形で使えるようになっていくと思いますので事業のシナリオプランニングを考える際にはこういった技術を考慮することも重要になってくるでしょう。

僕も複合現実の技術動向や取り組み事例は今後もチェックしていくのでまた面白い情報が集まったらお知らせします!