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ラッキーピエロに見るランチェスター戦略の成功事例

ラッキーピエロに見るランチェスター戦略の成功事例

こんにちはグシオです!

皆さんは夏季休暇いかがお過ごしでしょうか?
僕は9連休取ったのでレンタカーを借りて東北・北海道の道南(函館、松前)をグルっと回っています。今朝は函館にいたのですが現在は青森にいます。

函館のラッキーピエロ

僕は函館に寄ったら必ずラッキーピエロに寄ります。

ラッキーピエロを知らない方向けにWikipediaを引用します。

ラッキーピエロは、有限会社ラッキーピエログループが本社を置く、北海道函館市を中心とした道南地区で展開するハンバーガーショップチェーンである。 愛称は「ラッピ」。1987年6月創業。

wikipediaのラッキーピエロ項より

ラッキーピエロのハンバーガー

今回もラッキーピエロに寄ったのですが、いつの間にかカレーをすごい推しててちょっとビックリでした。むかしからカレー推してたっけ…?(むしろ、メニューにあったっけ…?)
カレーにも心惹かれましたが今回はチーズバーガーを注文。食しているとき、ふと思いました。

ぐしお
ぐしお

ラッキーピエロって函館でしか見かけないよなぁ。逆に函館では色んな所で見かけるのに

ラッキーピエロは圧倒的なリーダー企業であるマクドナルドを函館から撤退させたこともあるという情報がネット上に出ていたりします。実際は函館にも数店舗マクドナルドはありますが、たしかに存在感でいえばラッキーピエロの方が圧倒的に上なのは函館に行けば実感できると思います。つまり函館というエリアでは経営資源が少ないにも関わらず大手ハンバーガーショップに勝っているのです。あれ、これってランチェスター戦略、差別化集中戦略では?

せっかく経営やマーケティングを扱うブログを書いているので、ふと思ったのも何かの思し召し。ラッキーピエロについていろいろ調べてみました。そしたら思っていた以上にユニークな戦い方をしていたのでラッキーピエロの事業戦略を記事にすることにしました。今回のキーワードはランチェスター戦略、差別化集中戦略、4P分析です。中小企業診断士の2次試験に向けて頑張っている皆さまにも事例1,2に向けてちょっとしたおさらいになるような書き方を出来ればと思いますのでどうぞお付き合いください!

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ラッキーピエロとは(会社概要)

ラッキーピエロは1987年に「王 一郎」さん(2022年8月現在ラッキーピエログループ会長)が創業したハンバーガーショップです。経営理念は「スタッフを大切にしましょう。超お客様満足第一主義、お店はお客様が喜び満足するためにありスタッフと共に栄える」とのことです。

店舗は道南地区以外への出店依頼を断って地元に集中し、現在17店舗のうち13店舗が函館にあります。他4店舗もすべて道南エリアで本州はおろか札幌にすら店舗を出していません函館を中心とする道南地区の人々の「故郷の味」となることを目指しているそうで完全に地域密着型のブランドと言えます。食材も地元のものしか使わず作り置きもしないというポリシーがあったり、地域の清掃活動などのボランティアを積極的に行うことからも函館と共生していこうという気概がうかがえます。

ちなみにラッキーピエロの特徴の1つでもありますが、店舗ごとにすべてテーマが違っていて店内の雰囲気も結構違います。同じ商品でも店舗によって金額が違ったり(学生街では学生のために飲み物を安くするなど)、頼めるメニューも違ったり店舗ごとに差別化されています。お客様のリクエストに応えてどんどんメニューが追加されたり(そのために以前来たときになかったカレーが追加されていたわけですね)、この点マクドナルドなどの大手チェーン店とは大きく異なるポイントと言えます。

また、サーカス団加入制度(ひらたく言えば会員カード)があり、利用金額に応じて「準団員」→「正団員」→「スター団員」→「スーパースター団員」という形でランクが上がります。スーパスター団員になるには、累計14万円以上のメニューをラッキーピエロで食べるという中々ハードルの高いものではありますが、その分いろいろな特典がつくようです。これはパレートの法則(20%の人が80%の利益を生み出している)の考え方を取り入れており、一部の強力なリピーターを優遇して取り囲む仕組みといえます。

ちなみにラッキーピエロは以下のような賞の受賞歴があります。

  • 2000年 環境にやさしいお店認定
  • 2006年 北海道ゼロ・エミ大賞受賞
  • 2007年 環境大臣優秀賞受賞
  • 2007年 一村一品優秀賞受賞
  • 2008年 北海道ホクレン夢大賞優秀賞受賞
  • 2009年 全国ご当地バーガーランキング1位
  • 2015年 トリップアドバイザーエクセレンス認証受賞
  • 2017年 中国Ctrip Gourmet List 受賞

参考:ラッキーピエロホームページ

ラッキーピエロの4P分析

会社概要に記載したことを4P分析でまとめると以下のようになります。

Product-製品ハンバーガーやカレーが中心
・地元の食材にこだわり、作り置きしないことをポリシーとする
・店舗により提供メニューが異なる(スパゲティやピザ、オムライスなどを提供する店も)
・ご当地ハンバーガーランキングで1位をとったこともある
Price-価格リーズナブル
・学生街や観光客が多い店舗ではドリンクを安く提供するなどの措置あり
Place-販売場所函館を中心とした道南に集中(17店舗)※全国展開は考えていない
・店舗ごとにテーマが異なり、どの店舗にいっても新鮮な気持ちで楽しめる
Promotion-販促活動・口コミ
・サーカス団入団(優良顧客の囲い込み)
※スーパスター団員になると還元率6%、新年会にVIP待遇で呼ばれるなどの特典あり

これらの活動を通じて、函館を中心とする道南地区の人々の「故郷の味」となることを目指しています。ラッキーピエロの強みは、道南(特に函館)に住む全年齢層をターゲットとして、地域密着のブランディング力と「美味しい」「楽しい」「柔軟性」を併せ持つサービスと言えます。

ランチェスター戦略、差別化集中戦略

ランチェスター戦略とは、市場競争に勝つための理論と実務を体系的にまとめており、世界で最も広く利用されている戦略の1つといわれています。弱者が強者に勝つための戦略方法で、中小企業が大企業に勝ち抜くために役立つ戦略です。

「ランチェスターの弱者の戦略」には〝どんな分野でも良いので1つの分野で1番を目指すべき〟というものがあります。売上ナンバーワンの大企業でもすべての市場で全勝というのは難しいものです。売上の内訳の関係で利益が出しにくく軽視もしくは放棄している市場もあるかもしれません。そこで市場を細分化し、自分が1位になれる地域や領域、ターゲット、商品で局地的な戦いを挑むというわけです。細かくすればするほど、中小企業でも勝てる可能性が高まります。

ラッキーピエロは地域を絞り函館でナンバーワンになることを目指しました。さらに店舗ごとにテーマやメニューを変えるなどで他社と差別化をしています。いわゆる差別化集中戦略ですね。現在、他地域への出店のオファーが絶えずに来るもすべて断っているとのことです。地域密着が1つのコアコンピタンスとなっているので、それを維持するための選択と集中でもあります。

函館を歩けば分かると思いますが数百メートル歩いただけでラッキーピエロの店舗がいろいろなところに見えます。こんなに近くに店舗だして大丈夫なのかと思ったりもしますが、これだけ店舗が密着していれば競合他社は出しにくくなり、地元民にとっては当たり前の存在として受け入れられるようになり、観光客にとっても函館にしかないお店だから函館に行ったらラッキーピエロに行こうとなります。

実際僕も高知で有名な某カツオ屋さんや仙台で有名な某牛タン屋さんを求めてご当地に旅に出ることもありました。しかし、都内にも店舗出店をしていると知り、ご当地に遊びにいったときに必ずしも今そこのお店で食べなくても都内の店舗で食べれるしなーと思って違う店に入ることもありました。ラッキーピエロはそういうのがないので函館にいったら絶対食べなきゃという使命感が出てきます。そのあたりもうまく作用している感じがします。

みなさんも函館にいったらラッキーピエロでハンバーガーを食べてみてはいかがでしょうか!

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