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脱ゆるキャラ?自治体の地域活性化V-Tuber取り組み事例

いまやYouTubeでは大型ジャンルとなったV-Tuberですが、地方自治体でもV-Tuberを取り入れて地域プロモーションをしているところを見かけるようになりました。近い将来、ご当地ゆるキャラブームのような形でご当地V-Tuberブームが訪れる未来もありえるかもしれません。この記事では、地方自治体がV-Tuberを活用して地域活性化に取り組んでいる事例を調査します。

V-Tuberとは何か

V-TuberとはバーチャルYouTuberのことで、生身の人間の代わりに2Dや3Dのアバターで架空のキャラクターを使って動画投稿やライブ配信をする人のことです。多くの場合、YouTubeで動画投稿やライブ配信をすることからV-Tuberと呼ばれます。

Vtuberの動作は人間の動きをモーションキャプチャで反映させます。声も人が演じていて、仮想のキャラクターではあるもののリアリティがあります。

ライブ配信ではカワイイorカッコイイアニメキャラとコミュニケーションを取れるので、アニメや漫画の絵柄が好きな人などに人気があります。また、生身の人が出るよりもキャラクターの特徴づけがしやすく、演者のプライバシーを守りやすい(スキャンダル等が起きにくい)という特徴があります。

このような特徴から動画やライブ配信によるプロモーションをする際にはV-Tuberは使いやすいと言えるでしょう。

元祖V-Tuberとして「キズナアイ」が挙げられます。

引用:『キズナアイ公式サイト

地域活性化V-Tuber事例①茨ひより@栃木県

自治体公認ご当地V-Tuberとしてもっとも露出しているのは茨城県の茨ひよりさんなのではないでしょうか。

茨ひよりさんは茨城県が運営するインターネット動画サイト「いばキラTV」のプロジェクトで誕生しました。

茨城県は日本で唯一民放の県域テレビ局がないらしく、インターネットでの映像発信に注力しようと始まったのが「いばキラTV」の始まりだそうです。

YouTubeチャンネルも運営しており、茨ひよりさんデビュー動画は30万PVを超えています。これは自治体が運営する動画としては高い数値と言えます。

7年連続「都道府県魅力度ランキング」で最下位だった茨城県が2020年に42位になり話題になりましたが、この結果ももしかしたら茨ひよりさんの活動が貢献しているのかもしれません。

茨ひよりさんの動画企画として、
①VTuberらしい活動をしながらも、行政が運営しているために特定の層にしか受け入れられないものは避ける
②子どもからお年寄りまで受け入れられるような活動を考える
③あくまで茨城県の魅力を発信するという軸をぶらさない

以上のことを意識されたそうです。これらのコンセプトは他の自治体の方にとっても参考になるのではないでしょうか。

参考記事:『イーアイデム「茨城を魅力度ランキング最下位から救った県公認VTuber【経済効果5億円】」

地域活性化V-Tuber事例②蒼藍アオ@徳島県

蒼藍アオさんは徳島県公認のご当地V-Tuberです。蒼藍アオさんも茨ひよりさんと同じくゲーム実況や歌ってみた等いわゆるV-Tuber定番のコンテンツ動画を配信しています。それだけならここで取り上げる必要もあまりないのですが、僕が着目したのはオンラインバスツアーをご当地の企業とコラボして企画していたことです。

引用:『琴平バス株式会社プレスリリース「徳島県公認VTuber(ブイチューバー)蒼藍アオと楽しむオンラインバスツアーを企画」』

V-Tuberが案内するオンラインバスツアーというのは初めて見かけました。面白い試みだと思います。今はまだ知名度が低いかもしれませんが今後人気V-Tuberになった際には多くの方がこのツアーに参加し、徳島県の魅力を知るキッカケになるのだろうと思います。

今はまだそんなに参加者が居なかったとしても、継続はチカラなりということで続けていけば面白いコンテンツになっていくのではないでしょうか。

地域活性化V-Tuber事例③岩手さちこ@岩手県

岩手さちこさんは岩手県公認のV-Tuberです。Twitterのフォロワーは1.3万人、YouTubeのチャンネル登録数は6,060人と頑張ってはいるけれども数値としては群を抜いて秀でているとは言えないかもしれません。それでも僕がここでセレクトした理由はゲーム実況や歌ってみた等のV-Tuberらしいコンテンツは投稿せず、ひたすらご当地の魅力を発信している潔さが良いなと思ったことです。唯一あつ森のゲーム動画がありますが、これも岩手再現島「サッコラ島」を探検したというものでちゃんと岩手県にちなんだものになっています。

V-Tuberらしい動画を投稿していなくても、岩手県の宣伝宣伝にならずちゃんとエンタメ要素を意識した動画づくりをされています。

全都道府県を3回以上遊びまわった僕の岩手県の認識は、最初はあまり期待していなかったけれど実際行ってみたら見る場所が沢山あって良かった場所ランキングNO1でした。

言い換えれば、行かないと魅力が分からない。でも関東より西の人は岩手含む東北に行く優先度は低くなりがちだからパっとしないイメージのままでいるのではないでしょうか。そのような状況下で、岩手県の最初はパっとしないけれど行ったらすごく良い場所なんだと伝わるコンテンツを作り続けて多くの方に伝えることが出来たのなら、岩手さちこさんは大成功になるのでしょうね。今後の活動に期待です。

おまけ:最近せんと君が左遷されたと話題(?)の奈良県V-Tuber

最近ネットの記事で見かけて笑ってしまったのが、奈良県のV-Tuberのお話しです。奈良県と言えばキモかわいいと有名なご当地ゆるキャラのせんと君がいます。しかし今度奈良県でも公式V-Tuberを採用するようでキャラクターデザインの県民投票をすることになったようです。キャラクターたちは、せんと君のキモかわいい路線を廃止して普通にカワイイ系です。

既存のゆるキャラと上手く絡めて話題づくりをするのもプロモーション戦略として面白いかもしれないとこの記事を見ていて思いました。

まとめ

動物モチーフのゆるキャラはもちろんのことV-Tuberの台頭によってカワイイ人間キャラも地方自治体のプロモーションで使われるようになりました。ユーザーとコミュニケーションが取れるという最大の利点を活かして今後も地域の良さを伝えるためにV-Tuberを使う地方自治体が増える可能性は十分にあります。そうなったときにゆるキャラの時の二の舞にならないよう、ブームの後追いで何となくやるのではなくしっかりと戦略を組み立ててやることが大切です。

このような戦略を立てるさいには中小企業診断士など外部専門家を頼ることも1つの手です。何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください。