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地域活性化の要! ローカル鉄道のユニークな生存施策5選

地域活性化の要、ローカル鉄道のユニークな生存施策

地域は、駅から徒歩〇分という条件が住む場所を決めるうえで重要視する人が多い事から分かるように沿線沿いに町は発展します。しかし少子高齢化による人口減少で地方のローカル鉄道は経営が難しい状況になることも少なくありません。このような現状に対してユニークな取り組みをして地域を活性化し、地域と共に生存しようとする鉄道会社もあります。この記事では、地域活性化の要であるローカル鉄道のユニークな生存施策を紹介します。

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ローカル鉄道 (地域鉄道)とは

国土交通省によればローカル鉄道 (地域鉄道)の定義は以下になります。

 地域鉄道とは、一般に、新幹線、在来幹線、都市鉄道に該当する路線以外の鉄軌道路線のことをいい、その運営主体は中小民鉄並びにJR、一部の大手民鉄、中小民鉄及び旧国鉄の特定地方交通線や整備新幹線の並行在来線などを引き継いだ第三セクターです。これらのうち、中小民鉄及び第三セクターを合わせて地域鉄道事業者と呼んでおり、令和4年4月1日現在で95社となっています。

また、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会において、ローカル鉄道に関して以下のように提言されています。

 少子高齢化やモータリゼーションの進展等に伴ってローカル鉄道の経営は極めて厳しい状況が続いています。加えて、令和2年度には感染症による影響を受けた結果、全95社中93社とほぼすべての事業者が鉄軌道業の経常収支ベースで赤字となっています。

ローカル鉄道は本格的な少子高齢化時代にバスや福祉タクシー等地域の様々な交通手段と連携しながら、高齢者等の日々の移動を支え、駅の拠点性を活かして、地域の形成・発展や観光振興に寄与するなど地域と一体となったサービス向上を通して「地域の暮らしに組み込まれた持続可能な存在」となっていくことが必要です。


 潜在的な利用者が見込まれる地方都市近郊等においては、駅間の短縮や覚えやすく利用しやすいダイヤ設定、弾力的な運賃設定等様々な取組みをパッケージで展開することにより、既存の輸送のあり方を一新して地域の輸送ニーズにきめ細かく応える「コミュニティレール化」を進めることも有効なアプローチです。

また、観光を切り口として、鉄道が地域の観光資源を結んで走ることにより観光振興の役割を果たすとともに、イベント実施や車両の改装により「鉄道自らが観光資源」となり観光客の取り込みを図るなどの取組みも有効であるとしています。

参考:『国土交通省ホームページ

事例1 駅長はネコ!? 貴志川線 和歌山電鐵

引用:『和歌山電鐵株式会社

和歌山電鐵貴志川線は、和歌山駅(和歌山市)と貴志駅(紀の川市)を結ぶ延長14.3kmの地方鉄道路線です。


元々は南海電鉄の一路線でしたが、マイカー増加等のため様々な需要喚起の取組みにも関わらず利用者が減少し、平成16年9月には事業廃止の届出がなされました。

しかし、地域にとって重要な路線を廃止されては困るという住民が、自治体の協力を得ながら存続活動を行った結果、新たに設立された和歌山電鐵が事業を引き継ぐとともに、自治体が鉄道用地を保有し、事業者に無償で貸し付け、かつ、運営を補助することにより路線が存続されることとなりました。

貴志駅に併設する商店の飼い猫であった「たま」を駅長にしたことが大きな転機となりました。

たま駅長就任の話題は多数のテレビニュースや新聞でも取り上げられ、たま駅長目当ての乗客が日本各地から和歌山電鐵に乗車して貴志駅を訪れるようにもなりました。

当駅の乗降客数はたま駅長就任まで1日あたり約700人だったのが就任直後の2007年1月には約17%増加するなど、「たま駅長効果」は具体的数値となっても現れ、関西大学大学院の宮本勝浩教授らが「たま駅長」の就任1年間の経済波及効果を約11億円になるとの試算を発表するなど、たま駅長は地域活性化に大きく貢献しています。

事例2 天井がまるでプラネタリウム! ほくほく線 北越急行株式会社

引用:『ほくほく線ホームページ

北越急行が運行するほくほく線は、六日町―犀潟間59.5キロを結ぶ鉄道路線です。六日町でJR上越線、犀潟でJR信越線に接続します。開業は1997年3月で、2022年で25周年。

国鉄北越北線として着工されましたが、国鉄改革で新潟県、沿線自治体、金融機関などが出資する北越急行に引き継がれました。

 ほくほく線はトンネルが長くて多いことが特徴です。路線の長さが約60キロメートルのうち、約40キロメートルがトンネルなので景色が全く楽しめません。しかし、これを逆手にとって日本初のシアター・トレインを運航し、車両の天井部に美しい映像を映し出して乗客を楽しませる取り組みをはじめました。

事例3 駅長はボランティア住民 近江鉄道

引用:『京都新聞

近江鉄道線は1889年(明治22年)に開業し、滋賀県東部の5市5町(彦根市、近江八幡市、甲賀市、東近江市、米原市、日野町、愛荘町、豊郷町、甲良町及び多賀町)を結ぶ地域鉄道です。

開業から120年以上が経過し設備の老朽化が著しく、修繕、更新費用などの設備投資額が増加していることや少子高齢化の影響から累計赤字は40億円を上回っています。

そのような状況から近江鉄道は地域との連携をより深めていくことが大切であると考えており、その施策の一環として近江鉄道みらいファクトリーをはじめました。

近江鉄道みらいファクトリーは「近江鉄道がこうなったらいいな!」「こうしたら楽しくなりそう!」というアイデアを、沿線地域の住民と近江鉄道の社員が一緒にカタチにしていく取り組みです。2021年11月からボランティア駅長「つなぐ駅長」を設置しました。

つなぐ駅長の役割

  • 駅前周辺の活性化に向けた取り組みの継続と情報発信
  • (地域等の)様々な行事等において「つなぐ駅長」の肩書での参加
  • 近江鉄道みらいファクトリーの「つなぐ駅長」BOX 活動への参画
  • 今後各地で立ち上げるつなぐ駅長の連絡会組織への所属

また、2022年10月16日には1日限定で大人も子供も全線無料キャンペーンをおこない、鉄道の利用を促進するような企画もしています。

このように、地域住民の理解と協力を得ることはローカル鉄道にとってとても重要な施策であると言えます。

事例4 電車内で優雅なランチを 肥薩おれんじ鉄道

引用:『オレンジ食堂

肥薩おれんじ鉄道線は、熊本県八代市の八代駅から鹿児島県薩摩川内市の川内駅に至る鉄道路線です。

沿線産業の空洞化及び少子高齢化による沿線人口の減少、モ-タリゼ-ション、在来線から新幹線へのシフトなどにより、利用者は年々減少し、開業1年目の平成16年度の188万人をピークに、平成24年度は137万人まで大幅に落ち込み非常に厳しい経営状況のなか平成25年度に観光列車「おれんじ食堂」の運行を開始しました。

「おれんじ食堂」は海岸線まじかを走る列車からの眺めを楽しみつつ「“食”を通じて沿線の魅力を知ってもらう」をテーマに車内で沿線地域の特産物を使用した「おれんじ鉄道プロデュース」の料理や飲み物が味わえるレストラン列車の先駆け的な存在です。

平成25年度の日本鉄道賞にて「沿線ぐるみで鉄道再生」特別賞を受賞した経験もあります。「おれんじ食堂」の運行開始以降、営業活動により海外からの利用も増え水俣市の観光客が増加しました。

事例5 こたつで家族団らん 三陸鉄道

引用:『朝日新聞

三陸鉄道株式会社は、岩手県の三陸海岸を縦貫する鉄道路線(リアス線)です。

先述の「おれんじ食堂」と同じく三陸鉄道でも「うに丼」などのご当地の食材を使用したグルメを社内で提供するレストラン列車があります。三陸鉄道はレストランだけではなく車内の座席はこたつ仕様となっており、ゆったりとくつろげる空間を提供しています。

また、沿岸北部に伝わる「なもみ」も登場するなどの余興も実施しています。

また、東北大震災の影響を大きく受けた地域の鉄道であることもあり学校や団体を対象に、三陸鉄道社員や沿線住民が被災の状況を説明する「震災学習列車」も運行しています。

このようにローカル鉄道は単なる移動の手段ではなく地域の特性を活かした企画やイベントによって独自性を作りその列車に乗ることが目的となるような取り組みをすることが大事であると伺えます。

まとめ

このように知恵を振り絞り、地域を盛り上げ生き残りをかけた戦いをするローカル鉄道が数多くあります。地域住民にとっても、観光客にとっても移動のインフラである鉄道はとても重要な役割を担っています。

これからも厳しい戦いが続くと思いますが、各鉄道会社には頑張ってもらいたいです。僕も全力で応援・支援していきたいと考えています。