中小企業診断士のやりがいに関する意見を調べようとしたときに、真っ先にサジェストに出てくるのは「診断士 役に立たない」でした。
中小企業診断士という資格は取るのに割と苦労する割に大して役に立たないという話もチラホラ見かけます。ある記事では「足の裏の米粒」といった比喩も出てきました。中小企業診断士の資格を取っても食えないという意味です。
ところで本当に中小企業診断士の資格は取得しても役に立たないのでしょうか?
中小企業診断士の登録後9か月目ですが色々な体験を通してちょっとずつ世界が見えてきたので、現役中小企業診断士の視点から「診断士の資格は役に立つのか?」について議論したいと思います。
目次
そもそも役に立たないと言われるのは何故なのか
中小企業診断士の資格が役に立たないと言われる理由について色々ネットで調べてみたところ以下に集約されるようです。
公認会計士や弁護士、税理士などは、その資格を持つ人だけが行う事ができる業務いわゆる独占業務をする権利が与えられます。一方、中小企業診断士には独占業務が一切ありません。独占業務がないことで、中小企業診断士を取得しなくてもできる仕事しかないという理解になってしまうようです。
そのため、ある記事では「足の裏の米粒」といった比喩も出てきました。中小企業診断士の資格を取っても食えないという意味です。
なるほど。たしかに中小企業診断士に独占業務はありません。しかし忘れてはいけないのが中小企業診断士は経済産業省の管轄の軍団であるということです。つまり、中小企業診断士は経済産業省の施策を浸透させる役割を期待されているので、そういったところで実は色々とニーズがあります。独占業務がない代わりに守備範囲が広いので柔軟かつ多様な仕事が転がっている気がします。たとえば診断士協会経由で仕事を得ている人もいれば、商工会や産業振興センター、中小機構などと契約して経営相談窓口の担当者として実績を積んでいくことも可能です。多くの方は補助金支援や経営革新計画作成支援などをしたりしているようですが、その他にもセミナー講師や大学客員教授、コンサルタントなどで活躍する方もいらっしゃいます。
「足の裏の米粒」という表現も面白いですが、僕の印象としては中小企業診断士は「木綿藤吉」の方がしっくりきます。織田信長家臣時代の豊臣秀吉の通称で、”何にでも使える便利な物”という意味です。でも、最近は活躍の場も増えてきているので同じ米で例えて「米五郎左」になるかもしれませんね。丹羽長秀の通称で、地味だが無くてはならない存在という意味です。
中小企業診断士として独立するためには、他にも専門的な知識が必要になると言われています。
これは独占業務資格でも同じことなのでは……?という気がします。たとえ独占業務を持っていたとしても、仕事のシェアは同じライセンスホルダー同士で取り合うことになるのですから自分に何も持ち味がなければ仕事にありつけません。お客さんからしてみればハッキリとした強みを持っている人や実績が豊富な方のライセンスホルダーに頼みたいと思うはずです。そういう意味では、この理由は全ての仕事に共通して言えることであり、診断士の資格=役に立たない理由としては少し希薄な気がします。
実際診断士になって資格が役に立つのか
正直に言います。まったく役に立たないと答える人、とても役に立つと答える人、結構ハッキリ分かれると思います。では、意見が分かれる要因は何かというと、僕が思うに「自ら主体的に一歩を踏み出す時間と勇気と気力があるか」です。
多くの方がお察しの通り、中小企業診断士という資格は資格を取っただけでは何も始まりません。自ら色んな活動に参加して経験を積んだり仕事を取りにいかないとペーパードライバーのゴールド免許程度の価値にしかならないと思います。
実際、企業内診断士の同期と話をしていると、本業が忙しくて診断士活動は何もしておらず、資格取得前と何も変わっていないと言っていることもあります。
逆に、協会の部活動や研究会などに参加していると段々と横の繋がりが出来てきて、色々な経験や仕事を積ませてくれる機会を頂けることが増えていきます。そうなってくると、診断士になって良かったと思えることが増えていきます。
僕も企業内診断士ですが、やはり会社以外に自分の居場所が出来ていく感覚は心地が良いです。診断士にならなければ出会えなかった様々な背景を持つ方々に触発され、ときには自分の困りごとを相談して助けてもらうこともできます。いままで経験したことのないような新しい事にチャレンジができます。仕事を紹介頂き、お金を稼ぐこともできます。これらは全て診断士の資格を取って1年も経たないうちに僕が実際に経験してきたことです。
中小企業診断士になっていなければ、このような価値を得ることは出来ませんでした。そう考えれば、これだけで中小企業診断士の資格を取って役に立っているといえます。
まとめ
自分が診断士であり、横のつながりを大事にする診断士業界の雰囲気・風土が好きなこともあって僕は診断士になって良かったと心から思っています。少し視点を変えた記事もあるのでよかったらこちらも見てください!
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