NFTアートやDAO、メタバース等のWeb3,0を活用した地域活性化・地方創生のお話を最近よく見かけます。もともと ゆるキャラ大好きで最近はWeb3.0の情報も色々と調べていた僕ですが、今後「ゆるキャラ」とWeb3.0の掛け合わせで地域活性化を狙う動きが出てくるのではと考えています。
そう考える主な理由は以下の3つです。
- ゆるキャラの集客力はまだまだ捨てたものではない
- ゆるキャラはNFTアートやメタバースなどのデジタルコンテンツと相性が良く新たな財源が期待できる
- ゆるキャラの活動をDAOで投票して決めることで関係人口との一体感を形成できる
今回の記事では「Web3.0×ゆるキャラ」を題材にお話をします。この記事の初稿を書いているとき(2022年11月)、ゆるキャラ × DAO のトピックは僕の調べる限りでは1記事も出てませんでした。
もしも今後、ゆるキャラを使ったNFTアートを販売して財源を確保しつつ、NFTアート購入者が集まるDAOで ゆるキャラの活動を決める流れがトレンド化したらこの記事のことを思い出して頂けると嬉しいです (笑)
関連記事:『Web3.0を活用した地域活性化の取り組み事例』
関連記事:『“ゆるキャラ”で地域活性化を促進するマーケティング手法とは』
まずは2022年の ゆるキャラの動向についてお話しします。
目次
ゆるキャラ復活のきざし? 「ご当地キャラ博」に見る ゆるキャラの集客力
2013年頃に ゆるキャラブームが起こり彦にゃん や くまモン など数々のご当地スターが誕生しました。全国の ゆるキャラが集まる ゆるキャラのお祭り「ゆるキャラグランプリ」が2020年で終了となり、ゆるキャラブームが終わったように思えました。
晩年は全国で1,500以上もの ゆるキャラが登場したことでユーザーが消化不良を起こしたり、ゆるキャラグランプリで不正投票が起きたり等があり、さらには外出自粛の流れが来たことでトドメを刺されたような感じになっていましたね。
しかし、2022年10月に彦根で「ご当地キャラ博」が行われました。
ここ数年は中止やオンラインでの開催が続いていましたが実に3年ぶりにリアル開催されました。ちなみに現在彦根では彦根城を世界遺産にするべく様々な取り組みをしており、今回のご当地キャラ博を彦根城内でやったことも彦根城のPRの一環という背景もあるようです。
主催者によれば、2022年の「ご当地キャラ博」には、22日と23日の2日間で、およそ7万人が訪れたとのこと。同年8月の彦根城来場者数が5.4万人とのことです。夏休みシーズンで人が沢山訪れる時期である8月まるまる1か月分の来場者数をわずか2日のイベントで軽々と超えたことからも ゆるキャラの集客力の強さが伺えます。
加えて、彦根という立地は首都圏に比べると人が集まりにくいことも忘れてはいけません。東京はもちろんですが、大阪や名古屋からでも彦根に行くまで車・電車共に片道1時半~2時間くらいかかります。東京基準で言えば来場者数7万人はそれなりのイベントっていう認識になってしまうかもしれませんが彦根という立地で これだけの来場者数を得たということは評価に値するべきことだと考えています。
この事例から見て分かる通り、ゆるキャラブームは終わったかのように思えましたが実のところまだまだ集客力があり、今後の地方自治体のプロモーションの仕方次第では新たなブームが起きる可能性があることが伺えます。
その新たなプロモーションの1例として、現在のトレンドであるWeb3.0を活用したデジタルコンテンツ化があると思います
ゆるキャラのNFTアート実証実験事例
2022年1月、ETA HOLDINGS Co., Ltd.(本社:マレーシア連邦領ラブアン、以下「ETA」)は、ゆるキャラ®グランプリ実行委員会と共同でデジタルカードNFTをプロトタイプとして発行しました。
ちなみにNFTアートとは何ぞや? という方は以下記事をご参照ください。
関連記事:『Web3.0×NFTアートを活用した地域活性化事例』
本プロジェクトで最初にカード化されたのは高知県須崎市の「しんじょう君」と愛媛県今治市の「いまばりバリィさん」です。プロトタイプを発行したとのことですが、その後アップデートされた情報がなくどうなったのかは不明です…。
仮に上手くいかなかったのだとしたら、本件のNFTアートに実利的な付加価値をつけなかったことが1つの要因としてあると考えられます。投機目的、純粋な応援目的で買う人だけでは中々販売は難しいということです。
では、実利的な付加価値は何かというと、新潟県旧山古志村のNFTアートがまっさきに思い浮かびます。新潟山古志村では錦鯉のNFTアートを販売しました。NFTアート購入者に対してデジタル村民になる権利を与え、デジタル村民は村の地域活性化の取り組みを決める投票に参加することができるようになります。
このように付加価値をつけることでNFTアートはただのコレクションアイテムではなくなり、意味のあるものとなります。
加えて、ゆるキャラのようなマスコットキャラクターはメタバースなどでもグラフィック化しやすいという特徴があります。いくつかの地方自治体ではメタバースを作っていたりもするので、そのメタバース内にゆるキャラを登場させることでプロモーションとして有効に使えるようになるでしょう。
地方自治体による地方創生のためのDAO活用事例
DAO (Decentralized Autonomous Organization :自律分散型組織)とは、ブロックチェーン上で実行されるルールと共通のミッションを持った人たちが集まる非中央集権型の組織です。通常のコミュニティには管理者やリーダーが居ますが、DAOでは組織の中心となる人物や団体がおらず上下の関係なく全員が平等で組織自体が自律的に活動し続ける形態です。
DAOは地方自治体でも少しずつ取り入れ始めています。
たとえば先述の新潟県旧山古志村は現在「山古志DAO」に取り組んでいます。NFTアートを購入した人にデジタル住民票を発行し、デジタル住民となった人の投票によってどのプランを実行に移すのかを意思決定し、実際にデジタル村民に一部の予算執行権限を付与してプロジェクト化して進めていくというプロジェクトです。
詳しくはこちら:『Web3.0とDAOを活用した地方自体による地域活性化・まちづくりの事例3選』
先ほどお話ししたNFTアートも含めてたこの流れを、ゆるキャラを使って出来ると思いませんか?
つまり、まとめるとこういうことです。
- メタバース内でゆるキャラをつかってご当地プロモーションをして ゆるキャラと地域の認知・興味関心を高める。
- メタバースから、ゆるキャラのNFTアートを購入できる導線を作り販売して財源を確保する。
- NFTアートを購入してくれた人には「ゆるキャラファンクラブ会員証」を発行し、DAOに入れる権利を付与する。
- DAOでは、会員証を持つ人によって、ゆるキャラの今後の活動や地域活性化アクションを決める投票を行う
- この取り組みにより、地域とのかかわりを持てるような仕組みを作り関係人口を増やしプロモーションや観光誘致に繋げる
メタバースは金銭的にも人材的にも大きな工数を取られると思いますので、①②のフェイズは規模に応じて省略しても良いかもしれません。
少し内容は異なりますが①②のフェイズに対して、似たような導線施策をインドネシア観光創造経済相が「ワンダーバース・インドネシア」と称してやっていますので気になる方は以下記事をご参照ください。
関連記事:『海外に見るWeb3.0やメタバースを活用した地域活性化事例5選』
まとめ
以上、Web3.0 × ゆるキャラ で地域活性化が地方自治体の次の施策トレンドになりえるという考えをお話させて頂きました。理由は以下の3つです。
- ゆるキャラの集客力はまだまだ捨てたものではない
- ゆるキャラはNFTアートやメタバースなどのデジタルコンテンツと相性が良く新たな財源が期待できる
- ゆるキャラの活動をDAOで投票して決めることで関係人口との一体感を形成できる
ゆるキャラの関係ないところで地方自治体によってWeb3.0は少しずつ使われ始めています。それを ゆるキャラと掛け合わせるだけなので技術的にはそんな難しい事ではないと思いますし、これまで築き上げてきたゆるキャラブランドを使うことでWeb3.0の取り組みとシナジーを創出できるので本日お話しした流れは割と現実的なのではないかと考えています。
ゆるキャラ好きな僕にとって、ゆるキャラがこのまま埋もれてオワコンになってほしくないという願望も割と入っていますが(笑)、いずれにしても ゆるキャラがもっともっと活躍して地域を元気にしてくることを